「ジャニーズ性加害問題当事者の会」で〝分裂騒動〟だ。

 4日、アイドルグループ「忍者」の元メンバー・志賀泰伸氏が同会からの脱退をメンバーで構成するグループLINE上で表明。故ジャニー喜多川氏による所属タレントへの性加害問題を受け、3日には当事者の会とジャニーズ事務所(SMILE―UP.)の東山紀之社長、藤島ジュリー景子氏が面談したばかりだった。いったい何が起きているのか。

 面会は当事者の会側から、代表・平本淳也氏ら12人、ジャニーズ事務所側からは6人が参加し、2時間にわたって行われた。5日に当事者の会が発表したところによると東山が「喜多川氏の性加害について事務所としてちゃんと謝罪させていただきます」とあいさつした後、ジュリー氏が「本当に長い間、ご苦労されたかと思いますが本当に申し訳ありませんでした」と謝罪したという。当事者の会は「長くも短い、短くも長い時間と多くの労力を駆使して辿りついた一つの目的が達成された瞬間でもあります」と報告した。

 問題なのは、代表の平本氏や副代表の石丸志門氏らが、東山社長とジュリー氏に対し「SMILE―UP.に入りたい」などといった趣旨の話をしたことだ。当事者の会関係者の話。

「志賀氏は平本氏らが『雇用してほしい、就職したい』と要望したことに憤りを抑えられなかったのです。もともと志賀氏は性加害問題への怒りの度合いが大きく、海外での訴訟も望んでいた。そんな中、こんな発言をされたら怒りは倍増するでしょうし、納得はしないはず。志賀氏は日本社会の問題としてこの問題を捉えていますからね」

 当事者の会は、9月7日にジャニーズ事務所が行った会見を前に要請書を弁護士と共に作成。そこには「被害者救済措置制度」の具体化のため委員会を設置し、同会から推薦した専門家らを委員として任命することを求めていた。そのため平本氏の発言は、要請書で示した内容に伴うものとみられるが「志賀氏はそうは受け取らなかった。同じように受け止めて怒っているメンバーはほかにもいるようです」(同)。

 このほか、平本氏は当事者の会メンバーに断りなく、東山社長やジュリー氏に連絡先の交換を申し出たり、手紙を渡したりしたという。

 前出の関係者は「平本氏は単独行動が目立ち、情報共有がしっかり行われないことも多い。それに疑念を抱く人もいた」と証言する。

 では、平本氏はどう考えているのか。本人を取材した。

 まず「SMILE―UP.」に入りたいと要望したことについては「志賀氏の誤解です」と否定する。

「自分が入りたいではなく、弊会が推奨する人間を入れてもらいたいと要望したんです」

 前出の関係者の指摘したとおり要望書の内容を求めたが、ジャニーズ側は元裁判官の経歴を持つ3人の弁護士からなる被害者救済委員会を設置した。

 平本氏によると「救済会社となるのならば、被害者の意見を持った人間を入れてもらいたい」と要望。東山社長も「検討する」と回答したという。 

 ただ、平本氏は「事前に口頭でも言っていたことだが、勘違いをさせてしまった責任は感じている」と反省を口にした。

 また、東山社長らに手紙を渡したり、連絡先を交換したことについても「敵対する関係の中で得られるメリットはないと思うので。対話、会話が成立する関係に越したことはない。今回は大きな壁を取り払ったと思える会談だったという印象」と説明した。

 今後の同会について「謝罪は受けているので、次の段階ではそれぞれが納得できる救済措置を求めることを自分は望んでいる」としている。