フジテレビは昨年末に早期退職を募り、3月いっぱいでなんと約100人が退社することになった。希望退職者の中にはフジの黄金時代を支えた人気女子アナや、競馬のレース実況などでならした名物アナたちもいる。今月末に早期退職するフジ社員の話で分かった。フジテレビに激震が走っている。

 フジが「ネクストキャリア支援希望退職制度」を導入、満50歳以上かつ勤続10年以上の社員を対象に早期退職者を募ると発表したのは昨年11月末。「天下のフジがあり得ない!」(他局テレビマン)とテレビ界も驚くばかりだった。

 それ以降、社内はこの話で持ち切り。「局アナ経験者も辞めるのか」などとウワサが飛び交っていたという。自身も対象者で希望退職を決断したフジ社員が声を潜める。

「結果的には残留となったけど、キクちゃん(西山喜久恵)が辞めるんじゃないかってウワサはあったし、佐野瑞樹なんかは実際にずっと悩んでた。でも佐野は4月から、バイキング後枠の昼帯番組でMCをやるから、希望退職への応募をやめたんだって」

 対象の社員は約500人。年明けから募集が始まり、当初2月10日だった締め切りは1月31日に前倒しされた。1月中に応募し意思表示すると、今度は人事面接で「辞める理由や意思の固さを聞かれ、『部署を異動したら辞めないか』といった引き留めもあった」という。辞表を出すのは原則2月10~17日と定められ、それまでは退職を取り消せたそうだ。

 そんな矢先の先月下旬から、フジ社内やテレビ業界では希望退職者リストが出回っている。その更新版に載っている社員は約100人。「誰が作ったのかとか、人事の人が漏らしてるのかとか、いろいろ考えちゃった。調べてみたら、あのリスト、合ってた。まだ3人ぐらい載ってない人いるけど」(前同)

 そこには、かつてお茶の間でお馴染みだった局アナの名前もある。まずはFNNのニュース番組を長年担当し、「笑っていいとも!」のテレフォンアナウンサーや、料理番組「夕食ばんざい」で結城貢先生のアシスタントを長年務めた佐藤里佳さん(55)。女性初のアナウンス室長となった後、昨年7月にCSR・SDGs推進室へ異動した。

 元女子アナのもう1人は、平日深夜の報道番組「ニュースJAPAN」で2代目メインキャスターを務めた田代尚子さん(55)。アイドルアナ全盛期に正統派女子アナとして報道・情報番組を任され、パリやニューヨーク支局に赴任していた時期も。2014年にアナウンス室から国際開発局へ異動し、現在の所属は報道局。

 男性アナでは、「FNNスーパーニュース」週末版やワイドショーのキャスターなどを長年務めた境鶴丸さん(57)。アナウンス室では副部長も務めたが6年前、自ら希望して異動し、今は適正業務推進室の内部監査部にいる。

 もう1人は現役で、麻雀番組「THEわれめDEポン」(CS)の実況を担当している野島卓アナ(55)。3年前、室長に昇任した佐藤さんに代わりアナウンス部長となったが、昨年7月に部長職を降り、報道局兼務となった。この4人はみな、1989年入社の同期だ。

 このほか「みんなのKEIBA」などフジの競馬番組やレース実況で知られる福原直英アナ(54)の名前もある。西山アナや小島奈津子(現フリー)と同期の92年入社で、夫人は1つ後輩の同僚アナだった。

 同じく競馬の実況やフィギュアスケート、F1などの名実況が「塩原節」と呼ばれた塩原恒夫さん(58=17年にBSフジへ出向)や、かつてサッカーやF1の実況でならすも、09年にアナウンス室から総務局へ異動、16年から報道局所属の長坂哲夫さん(55)も名を連ねている。

 民放トップだった時代に活躍したアナたちが続々、フジを去る。