横浜市カジノ、賛否問う住民投票へ署名開始 

2020年9月5日 06時00分
 

誘致の賛否を問う住民投票に向けて署名を呼び掛ける受任者ら

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の横浜市への誘致に反対する市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は4日、誘致の賛否を問う住民投票条例制定を林文子市長に直接請求する署名集めを始めた。期間は11月4日まで。(丸山耀平)

◆「市民が決めよう」

 市選挙管理委員会によると、条例制定の直接請求には有権者の50分の1に当たる約6万2500人分以上の署名が必要。市民の会は署名集めを担う受任者を4万3500人確保しており、50万人分の署名を目標に掲げる。年明けの市議会での条例案審議、来年5月の住民投票実施を目指す。
 同会は市役所で記者会見を開き、共同代表の小林節慶応大名誉教授は「住民自治を取り戻す闘いが始まった。カジノを導入するかどうかは、市民に直接聞くべきだ」と訴えた。
 JR桜木町駅前ではマスクをした受任者たちが「カジノ、市民が決めよう」などと書かれた横断幕を掲げ、「カジノは要らない」「みんなの思いを届けましょう」と呼び掛けた。署名した同市西区の主婦鈴木喜美江さん(70)は「横浜はカジノが無くても明るくて良い街。子どもたちの世代に明るい街を残したい」と話した。同市保土ケ谷区の主婦田中恭子さん(77)は「市民の考えが市長に届く街にならないとおかしい」と語気を強めた。
 同会は当初、今年4月の署名開始を目指していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて延期していた。
 市が、目指すIRの要件を示す実施方針について、国の基本方針が示されていない状況を踏まえ、「現下の状況では公表できない」と公表を延期している。
 IR誘致に反対し、林市長のリコール(解職請求)を目指す政治団体「1人から始めるリコール運動」も10月から署名集めを行う予定。

◆有効署名6万2500人分必要

 住民投票を実施する条例制定の直接請求に必要な署名が集まると、市は1人が複数回署名していないかや、市外の住民の署名がないかなどを審査する。有効署名が有権者の50分の1に当たる約6万2500人分以上と確認されると、市長が市議会に条例案を提出。市議会が住民投票条例案を可決すれば、60日以内に住民投票が行われる。
 また、同市では、市長のリコール(解職請求)に約49万人分の署名が必要。署名は市選管に提出され、請求が有効であれば60日以内にリコールの賛否を問う住民投票が行われる。過半数が賛成すると市長は失職し、50日以内に出直し市長選が行われる。
 住民投票、リコールとも署名活動期間中に衆院が解散された場合、解散翌日から投票日まで署名活動はできない。投票翌日から活動を再開でき、計62日間活動できる。

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