ちんちん電車 小田原へ帰郷支援を 長崎の引退車両・モハ202号

2020年8月21日 06時52分

長崎市で「長崎電気軌道151号」として活躍していた「モハ202号」の車両=長崎市で(いずれも小田原ゆかりの路面電車保存会提供)

 小田原市内をかつて走った路面電車を「帰郷」させようと、鉄道愛好家らでつくる「小田原ゆかりの路面電車保存会」は21日から9月25日まで、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを実施する。 
 路面電車は1956年まで箱根登山鉄道が運行していた小田原市内線のモハ202号(長さ11メートル、幅2.3メートル、高さ3.7メートル、15トン)。自動車交通量の増加で廃線後は長崎市の路面電車「長崎電気軌道」へ譲渡された。
 長崎では旅客輸送のほかイベントなどで活躍し、2019年に引退した。やまぶき色とライトブルーのツートンカラーの車体は小田原時代の塗装を踏襲したもの。市内線を走った車両で唯一現存するという。
 廃車されると知った小田原の鉄道愛好家やまちづくりの関係者が、引退車両を小田原の歴史遺産にと譲渡を申し込み、行政や地元経済界にも働き掛け、今回のプロジェクトが始まった。
 今春結成された保存会によると、地元のまちづくり会社「報徳仕法株式会社」が来年2月、小田原市南町にオープンさせる観光・地域交流施設の敷地で保存、展示する計画になった。
 課題は、トレーラーや船による輸送費や設置費など計1000万円の資金調達。保存会で500万円を準備し、残る500万円は寄付を募ることにした。期限の9月25日までに目標額に達しないと、計画は白紙に戻るという。寄付の返礼品は鉄道グッズや小田原名産品などを考えている。
 小室刀時朗(としろう)会長(64)は「環境に優しい次世代型路面電車が注目されており、持続可能な国のSDGs未来都市に選ばれた小田原で路面電車が再び走る機運醸成のきっかけにもしたい」と話している。 問い合わせは小室会長=電070(6645)5877=へ。(西岡聖雄)

小田原市内線当時の車両


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