自民・安倍派が解散へ…「知らなかった」と語る幹部に「いいかげんにしろ」反発続出 橋本元五輪相は裏金「2057万円」

2024年1月19日 23時26分
自民党の最大派閥も解散を余儀なくなされた。
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件を受け、派閥の会計責任者や所属議員が立件された安倍派(清和政策研究会)は19日夕、臨時総会を開いた。
参加した所属議員で、派閥の存続を訴えた議員は皆無だった。塩谷立座長は総会後の記者会見で、安倍派を解散する方針を決定したことを明らかにした。

◆「清和研を解消する」

「カメラの前でしゃべってください」「幹部は責任を」。2時間近くに及んだ総会では、所属議員から幹部への批判が相次いだ。総会後、「われわれも知らなかった」という幹部の説明に、「いいかげんにしろ」との声も。自身の裏金額を証言する議員もいた。

自民党安倍派の臨時議員総会に臨む(左から)松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、下村博文衆院議員

冒頭だけ報道陣に公開された総会には、所属議員の3分の2に当たる66人が出席。20人から発言があり、派閥幹部の責任や派閥の在り方に発言が多く集まったという。
総会後に記者会見を開いた塩谷氏は「(総会では)今後のわれわれ幹部の責任の取り方、あるいは派閥の今後について十分に意見をいただいた。結果的に、清和研を解消するということを決定した」と説明した。

◆所属議員らは…「解散したら終わりではない」

総会後、出席した議員たちを記者団が取り囲んだ。
「いいかげんにしろという気持ちだ」。西田昌司参院議員は、総会での安倍派幹部ら説明に怒りをぶちまけた。
西田氏によると、幹部は一連の疑惑について「われわれも知らなかった」と話し、事件の経緯について明確な説明はなかったという。「私たちは寝耳の水だったのに、(幹部は)少なくとも1年以上前に告発あったのに放置してきた」とし、総会では、幹部に対して「普通の組織ではありえない」と声を荒げたという。
西田氏は「派閥を解散したら終わりではない。事実をしっかり知らしめないと。刑事上の責任以前に国民の代表として、政治家としての責任がある」と幹部の説明責任を訴えた。

◆キックバックの総額は「2057万円」

橋本聖子元五輪相は「捜査が節目を迎えたので話します」と述べ、派閥からキックバック受けた裏金額が「2057万円」だったと明かした。裏金の使途については「政務活動費として使っていた」とした。

自民党安倍派の臨時議員総会を終え、報道陣の取材に応じる橋本聖子参院議員=19日、東京・永田町の党本部

橋本氏は「政治不信を招いたことは深く反省している」と述べたものの、「議員を続けていく中で責任を果たしていく」と議員辞職は否定した。

◆「国民へのけじめ、自分たちで腹を切る」

16日の政治刷新本部の会合後、「私が派閥を介錯(かいしゃく)する」と安倍派解散を訴えていた宮沢博行衆院議員。安倍派解散について「国民の皆さんへのけじめとして必要なこと、当然のことだ」と語った。
記者から「介錯できたか」と問われると、「私たちも改善の提案をしなかった責任がある。だから、(派閥の)総意として解散しよう(と発言した)。自分たちで腹を切って、そして介錯がある。それでいいんじゃないでしょうか」と述べた。
総会では、安倍派幹部の責任を追及。「カメラの前できちんとしゃべってください。知らなかったというのが本当なら、知らなかったとしゃべってください」と迫ったという。
この日の幹部の説明も具体的ではなく、「還流が始まったことについては説明がほとんどなかった。慣行だったという言い方だった」と振り返った。

自民党安倍派の臨時議員総会を終え、報道陣の取材に応じる宮沢博行衆院議員=19日、東京・永田町の党本部

「非常に残念ですけどやむを得ない」。複雑な心境を明かした柴山昌彦元文科相も、総会で派閥解散を訴えた。
「長年にわたる慣行だったとは言え、本当に大変残念。政治の在り方を抜本的に改めなければいけないと、しっかりと私自身も含めて肝に銘じたい」と語った。

◆塩谷座長「誤った処理、深く反省」

午後6時から始まった総会は、塩谷氏のお詫びの言葉から始まった。
塩谷氏は神妙な表情で、「収支報告への多額の不記載により国民、党員含む自民党関係者の信頼を裏切ったことに対して心より深くお詫び申し上げる」と陳謝した。
その上で「誤った説明など長年にわたるミスリードで所属議員事務所に誤った処理させたことについても深くお詫び申し上げる。私自身が座長として、もっとできることがあったんだろうと大変深く反省している」と頭を下げた。

自民党安倍派の臨時議員総会で裏金問題について謝罪する(左から)世耕弘成参院幹事長、塩谷立座長、高木毅前国対委員長=19日、東京・永田町で

派閥から裏金事件への説明がないことについては、「事務所関係者も捜査されている中、総会を開催し、事件について話題にすることも証拠隠滅の疑念招きかねないことから総会を控えてきた。事件がどうなっているのかという不安や、地元に説明したいという思いの先生方もいたと承知しているが、その点について重ねてお詫びする」と釈明した。
幹事会に先立ち、安倍派の中堅若手はこの日、塩谷立座長に安倍派解散を申し入れた。
その一人、福田達夫元総務会長は、記者団に「責任をしっかりと明確にした上で、(派閥を)解散するということも速やかに決めるべきじゃないかということも、われわれ(中堅若手)の中で一致した」と語った。

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