埼玉県警の「ポッポくん」、部署のキャラから「昇任」20年 生みの親・高橋警部補の思いは

2023年10月22日 07時34分

来庁者に特殊詐欺への注意を呼びかけようと高橋警部補が手作りしたポッポくんのパネル=新座署で

 埼玉県警の「ポッポくん」が今月、シンボルマスコット就任から20年の節目を迎えた。着ぐるみの階級章を見ると、ポッポくんは多くの警察官が初めて任じられる階級の「巡査」。だが、関係者への取材から、一部署のキャラクターとして生まれ、その後県警を代表するマスコットに「昇任」を果たした歩みが明らかになった。(大久保謙司)
 ポッポくんは、県のマスコットキャラクター「コバトン」と同じく県鳥のシラコバトがモチーフ。県警ホームページなどに幅広く登場し、各地で開催される啓発活動には着ぐるみが「出動」。愛らしい姿で人々を和ませる。ぬいぐるみや文房具などのグッズも販売されている。
 デザインしたのは警察官だった。新座署生活安全課の高橋直子警部補(58)。県警本部の広報課に勤務していた約30年前、通信指令課から「キャラクターを作ってほしい」と依頼を受けた。県警が導入した通信指令システムの見学者に配るパンフレットなどに「案内役」として登場するキャラクターが必要になり、イラストが得意なことから白羽の矢が立った。
 「埼玉」の「玉」にちなみ、ころころとした丸みを特徴としたキャラクターをイメージ。構想を練り、1カ月ほどでポッポくんのデザインを完成させた。その後、高橋警部補は広報課から異動したが、ポッポくんは通信指令課のキャラクターとして定着し、課員らの愛情を受けて過ごした。

ポッポくん(左)、ポポ美ちゃん(右)とポーズを決める高橋警部補=県警本部で

 当時、全国の警察では、警視庁の「ピーポくん」など数々のシンボルマスコットが誕生していた。県警も2002年、県民に親しまれ、信頼される県警のイメージづくりなどを目的にマスコット制定を計画し、デザイン案を募集。職員や家族から約300案が集まった。
 その一つに、当時の通信指令課員が提案したポッポくんもいた。ポッポくんは最終候補の5点に残り、県民の人気投票で晴れて全国で44番目の警察シンボルマスコットに選ばれた。
 それから20年。高橋警部補は県警のポスターなどに登場するポッポくんを見かけるたび、特別な愛着を感じてきた。「警察はどうしても堅いイメージを持たれがち。ポッポくんがいることで柔らかい印象になり、目を引く」。警察官として働きながら育て上げた3人の子どもに加え、ポッポくんを「4人目の子ども」と感じている。現勤務地の新座署でも、来庁者への掲示物を目立たせるための「ポッポくんパネル」を自作するなど生みの親ならではの活動を続ける。
 14年には、ポッポくんから派生したキャラクター「ポポ美ちゃん」が登場。女性の視点を取り入れた警察活動に取り組む姿勢などを県民に伝えている。高橋警部補は「今後、さらにポッポくんの仲間が増えたら面白い」とほほ笑み、「これからも県警と県民を結ぶ役割を果たしてほしい。警察からの呼びかけを人々に届けるメッセンジャーであってくれたらうれしい」と願った。

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