ロシア軍の精鋭5000人が壊滅か 東部の戦闘激化で犠牲者数が急拡大 「戦略的な失敗」との声も

2023年2月15日 20時11分

ロシアの砲撃で損壊したビル=14日、ウクライナ東部ドネツク州バフムトで(AP)

 ウクライナに侵攻するロシア軍の精鋭5000人で構成する極東・太平洋艦隊第155海軍歩兵旅団が、東部の戦闘で壊滅した可能性が浮上している。米政治サイト・ポリティコが12日、ウクライナ軍高官の情報を基に報じた。侵攻1年を前に、ロシア軍が占領地拡大を期して「大攻勢」を試みる中、犠牲者数も急拡大しているとみられる。
 同サイトやロシアの独立系メディア「重要な物語」によると、第155海軍歩兵旅団は6日、東部ドネツク州ウグレダルに進撃し、ウクライナ軍の猛攻を浴びた。戦車15両やその他の装甲車が破壊され、放棄を余儀なくされたという。
 ロシア軍の内部情報を基に、ロシア側の軍事ブロガーらも「戦略的な失敗」と主張。多大な被害が出たのは確実とみられる。ただ、ロシア国防省はこの件で声明などは出していない。
 一方、英BBC放送は13日、独立系メディア「メディアゾーナ」などとの共同調査で、昨年9月末以降に徴兵された動員兵のうち、死亡した1082人の氏名を特定したと伝えた。このうち4割は1月以降の死者としている。プーチン政権は人的犠牲をいとわず、訓練を受けていない動員兵を戦場に大量投入しているもようだ。
 戦況を巡っては、英紙フィナンシャル・タイムズは14日、米欧の情報当局への取材を基に、ロシアがウクライナ国境周辺にヘリを含む軍用機を集めていると報じた。空からの攻撃を画策している可能性があるが、ウクライナの防空システムは機能しており、戦況の打開につながるかは不透明だ。
 またノルウェーの情報当局が1月末に公表した年次報告では、ロシア軍がウクライナ侵攻後に戦術核を搭載した艦船を東西冷戦終結後、初めて出港させていたことが判明。ノルウェー当局は「現状、ロシアにとって核兵器の重要性が増している」とも指摘している。
 ロシアでは、今月21日にプーチン大統領の年次教書演説、22日に上下両院で緊急会合が予定され、侵攻に関する新たな方針が承認される可能性がある。

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