「クレヨンハウス」吉祥寺へ移転 表参道で紡いだ46年の歴史に幕 ファン「街の魅力さらに高まる」

2022年11月10日 06時00分

作家・落合恵子さんが主宰し、東京・表参道の「顔」の一つとなってきた子どもの本の専門店「クレヨンハウス」。46年に及んだ表参道での営業を23日で終了し、東京都武蔵野市の吉祥寺駅近くに移転が決まった=東京都港区で(由木直子撮影)

 作家落合恵子さん(77)が主宰し、長年、東京・表参道の「顔」の一つとなっている子どもの本の専門店「クレヨンハウス」(東京都港区北青山3)が、ビルの老朽化のため46年に及んだ表参道での営業を23日で終了し、武蔵野市の吉祥寺駅近くに移転することが決まった。早ければ12月中旬のオープンを目指している。(花井勝規)
 クレヨンハウスは1976年に表参道で開業。86年に表参道から一筋裏の現在の賃貸ビルへ移った。絵本や児童文学をそろえるだけでなく、女性の本や玩具のフロア、地下には有機野菜を集めた野菜市場やオーガニックレストランもあり、親子3世代で利用するファンも多い。
 
◆吉祥寺駅から徒歩6分の「東急裏」へ
 移転先は、吉祥寺駅から北西に徒歩6分ほどの武蔵野市吉祥寺本町2の商業ビル。東急百貨店吉祥寺店の北側から西に延びる大正通り沿いで、若者に人気の店が立ち並ぶ「東急裏」と呼ばれるエリアの一角だ。
 店舗面積は表参道より小ぶりになるが、扱う商品はほぼそのまま。別のオフィスに入る関連の卸会社「子どもの文化普及協会」を集約し、定期開催する「子どもの本の学校」や「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」も店内で継続する。
◆落合さん「エネルギッシュに発信続ける」

クレヨンハウスを主宰する落合恵子さん=昨年7月撮影

 落合さんは吉祥寺について「子どもの頃、中野に住んでいた縁で井の頭公園にはよくお弁当を持って遊びに行ったので親しみがある」と語る。新拠点の周囲に若者向きの個性的な店が多い点に触れ「街の空気がかつての表参道と似ている。引き続き、吉祥寺からエネルギッシュに発信を続けたい」と意欲をみせる。
 落合さんによると、吉祥寺を選んだ理由の一つは30年前から取り組むオーガニックレストランと有機野菜販売の事業拡大。農家と連携し、クレヨンハウスが自前で有機野菜を調達する仕組みを来春から充実させる計画という。
 武蔵野市在住で、落合さんと文化放送時代に同僚だった鎌内啓子さん(80)は「飛び上がるくらいうれしい」と喜ぶ。吉祥寺の貸しビル業の男性(57)は「クレヨンハウスほどのビッグネームが吉祥寺に来れば、街の魅力がさらに高まるのは間違いない」と歓迎している。

関連キーワード


おすすめ情報