「女王の死が転換点に」カリブ海諸国でイギリス王室離れが活発化 元植民地、共和制への意向表明続々

2022年9月17日 21時22分
エリザベス女王へのお悔やみを書くアンティグア・バーブーダのブラウン首相=16日、ロンドンで(AP)

エリザベス女王へのお悔やみを書くアンティグア・バーブーダのブラウン首相=16日、ロンドンで(AP)

 英国のエリザベス女王の死去を受け、英国王を国家元首とする中米カリブ海諸国で共和制への移行を模索する動きが活発化している。チャールズ国王への70年ぶりの代替わりを機に、英王室と植民地支配の過去などがあらためて問われている。
 英国以外で英国王を元首とするのは14カ国あり、中米カリブ海地域にはジャマイカやバハマなど8カ国が集中している。8カ国はいずれも英国の植民地から独立しており、英国が関与した黒人奴隷貿易や経済的搾取といった負の歴史の影響も受ける。
 英ITVニュースによると、このうちアンティグア・バーブーダのブラウン首相は11日、3年以内に立憲君主制を廃止して共和制を選択するかどうかの国民投票を実施する意向を表明。「敵対行為ではない。真の主権国家になるための最終ステップだ」と述べた。
 米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、セントルシアにも同様に国民投票を目指す動きがあるという。VOAは、ジャマイカでは8月の世論調査で56%が英国王を国家元首とするのをやめることに賛成していたと指摘。「(多くの国で)女王の死は間違いなく転換点になる」とする識者の見方を伝えた。
 3月にウィリアム王子(現皇太子)がジャマイカやベリーズを歴訪した際には、過去の植民地支配に対して謝罪や賠償を求める活動が起き、黒人の権利意識向上や英王室への複雑な感情が示された。カリブ海諸国では英連邦バルバドスが昨年11月に立憲君主制から共和制に移行している。(ニューヨーク・杉藤貴浩)

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