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2022.10.30 / 最終更新日:2022.10.31

六曜とは?‐カレンダーに書かれている大安・仏滅など‐

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誰もが一度は見聞きしたことがあるであろう「大安たいあん」や「仏滅ぶつめつ」の言葉。日取りで、大安ならば「なんだか何事も上手くいきそうだな」だとか、仏滅ならば「あんまり良いことが起こりそうにない…」などと感じたりしませんか。

大安、仏滅はその他「先勝せんしょう」「友引ともびき」「先負せんぶ」「赤口しゃっこう」と合わせて「六曜ろくよう」と呼ばれ、割り当てられた日にちそれぞれが意味をもっています。

今回は六曜についてお話しし、不動産売買取引との関わりも紹介していきます。

六曜とは?


六曜ろくようとはこよみに関する日本の書物「暦本れきぼん」の中にある暦注れきちゅうのひとつです。同義語として「お日柄」があげられます。

※暦注:暦(カレンダー)に記載されている日時・方角の吉凶禍福きっきょうかふくに関する事項を指す、日本古来の暦にまつわる運勢占いのようなもの

六曜は他に六輝ろっき六曜星ろくようせいともあらわされますが、六曜が一番古い名称です。

六曜の起源は諸説ありますが、古代中国の五行に付した時刻の吉凶占い小六壬しょうりくじんが元ではないかといわれています。中国ではあまり流行しなかったそうですが、日本へは少しずつ名前・形を変えながら時刻や方位の吉凶判断として伝わりました。

六曜の読み方と意味

先勝

【せんしょう(=せんせう)、せんかち、さきかち、さきがち】

諸事急ぐことによし、午後よりわるし
※午前0時〜正午までは「吉」その後は「凶」

文字の通り「先んずれば即ち勝つ」の意で、事を起こすのが早ければ早いほど良い日とされます。

■友引

【ともびき、ともひき、ゆういん】

朝夕よし、午後わるし、葬式を忌む
※午前11時〜午後1時のみ「吉」

本来は「共引」と書かれていました。相打ち勝負なしの日のこと。「共に引く、勝負なき日」=「引き分けになる日」よって、特に良いことはないけれど悪いこともない日とされます。
「友引」と書かれるようになってからは
「ゆういん」が最も古い読み方です。ですが時代の流れとともに「友を引く」という字面にひかれて「ともびき」という読み方が強くなったのではと考えられています。
「友を引く(連れる)」ため葬式などの凶事を行うには悪い日とされますが、反対に慶事を行うには良い日とされます。

■先負

【せんぶ、せんぷ、せんまけ、さきまけ】

諸事静かなることによし、午後より吉
※正午〜夜中の12時までが「吉」

こちらは先勝の逆「先んずれば即ち負ける」急がば回れ、急いては事をし損じるという意です。落ち着いて物事を進めましょうという日です。また、時間のかかることをじっくりと行うにのにも良い日といえます。

■仏滅

【ぶつめつ】

万事凶、口舌を慎むべし、患えば長びくおそれあり
※終日「大凶」

六曜の中で最も縁起が悪い大凶日です。仏陀ぶっだも滅する(亡くなる)ほどの凶日とされています。
ですが、真逆の解釈として「何事も新しくはじまる前に、古いものは一度滅びる」「これまでの物事が一度整理されて新しくなる」ということから、新しい事を始める際に良い日という捉え方もあります。
六曜の中で唯一読み方がひとつしかありません。
「仏滅」の字面から仏教が連想されますが、六曜そのもの仏教となにも関係がありません。

■大安

【たいあん、だいあん】

移転開店婚礼旅行その他すべてによし、大吉日
※終日「大吉」

文字の通り「大いに安し」の意で、六曜における大吉日です。一日中あらゆることが「吉」で何をするにも良い日です。よく結婚式や結納の日に選ばれることが多いです。
何をやっても物事がうまく運ぶと言われることから、事始め=使い始めにも良い吉日とされています。お財布の購入や使い始めなどお金にまつわる新しいことを始めるのにも、縁起が良いとされています。

■赤口

【しゃっこう、しゃっく、せきこう、しゃくくち、じゃっこう、せきぐち】

諸事ゆだんすべからず、用いるは凶、正午のみ吉
※11:00~13:00のみ「吉」

一説には仏滅を超える凶日とされます。赤口は、「赤」が「火」や「血」など「死につながるもの」を連想させるため、昔から縁起が良くないと言われています。
加えて「赤舌神しゃくぜつしん」という神様の部下である鬼がやって来て人々を悩ませるので、やることなすこと「凶」になる日という俗説もあります。ですが、昔の時間でいううまの刻(11:00~13:00頃)だけは鬼の休憩時間なので「吉」とされています。
六曜の中でも読み方が一番ややこしいのが赤口です。どれも誤りではありませんが「しゃっこう」が一般的です。

六曜の歴史

六曜ろくようが日本に伝来したのは鎌倉時代とされていますが、流行したのは江戸時代末期です。誰が取り入れて、どうやって広まったのかは定かではありません。古くは合戦の、流行時は勝負事や取引的な事の日時決めの吉凶判断に用いられていました。

旧暦が使われていた時代は様々な暦注れきちゅうが流行しており、そのうち信じ過ぎて暴走してしまう人が現れはじめました。政府は混乱を防ぐために明治5年に「吉凶付きの暦注は迷信である」として「暦注禁止令」を発令、翌年の太陽暦(現在の暦)への改暦を機に、暦注が記載されたカレンダーの発行は禁止となりました。

ですが、旧暦のリズムで生きてきた人々にとって暦注は生活の目安となる大切なものでした。政府は暦注を必要とする国民の要望を押し切ることができず「略本暦りゃくほんれきに附す」として、六曜と旧暦を残しました。

※略本暦:基本となる暦から日常生活に必要な事項だけを抜き出して作られた簡単な暦のこと

国が発行するカレンダーに六曜が記載されることはありませんでしたが、こよみ屋さんの発行する民間向けのカレンダーには六曜が記載されていました。このことをきっかけに六曜は暦注を求める人々に今まで以上に浸透していったといえます。

その後1882年(明治15年)に政府は太政官布・達だじょうかんふ たつ、第8号をあげました。

"本暦並ニ略本暦ハ(略)一枚摺略暦いちまいずりりゃくれきハ明治十六年こよみヨリ何人ニ限ラズ出版條例ニ準據じゅんきょシテ出版スルヲ得"

この布告により国民は「出版の自由」を得て、暦注禁止令も解かれました。

また、戦後になると日本国憲法により「表現の自由(第21条)」が制定されたため、華やかなカレンダーが流行しました。乗じて存在し続けていた六曜の認識は、他の暦注よりも目立つ形でますます広まっていきました。

六曜は意味がない?

なぜ政府は「暦注は迷信だ、信じるな!」と謳いながらも六曜のみ見過ごしたのでしょう。

はっきりとした答えはありませんが、六曜は他の複雑な暦注に比べて運勢が6種類のみということもあり、庶民にとっては単純でつまらない占いとされていたからだという説があります。よって政府からみて暦注ではあるけれども取るに足らないものと判断されたのかもしれません。

六曜はもはや政府が関心を向けないほどに意味がないものなのでしょうか……

単純、つまらないと捉えられる理由として六曜は巡る順番が機械的に決まっていることにあります。六曜は旧暦の毎月1日を元に割り振られ、先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口の順で1つずつ進み赤口からまた先勝に戻り、同順で繰り返します。

六曜は旧暦の月初めに先勝から順番に巡るだけで、これといった自然や科学的な根拠を一切もっていません。また、仏滅や友引の言葉から連想される仏教とも、そもそも何かの宗教ともまったく関係がありません。

占い好きな人は残念に思うかもしれませんが、やはり六曜は迷信だといえるでしょう。

六曜と不動産売買取引

ただの迷信だと分かっていても、なんとなく気にしてしまうお日柄。六曜と不動産売買取引の関わりについてまとめてみました。

 ■先勝:契約、決済、地鎮祭、上棟式、引っ越しは「午前中」に行うと良いとされます。

 ■友引:「友を引く」ということで契約・地鎮祭・上棟式をするのが良いとされます。また昼の時間帯以外は吉とされますので引越しにも向いています。

 ■先負:契約、決済、地鎮祭、上棟式、引っ越しは「午後」に行うと良いとされます。先勝の反対ですね。

 ■仏滅:最も凶日ですが、何かを始めるには良日ともされるので考え方しだいです。

 ■大安:最良日です。契約・地鎮祭・上棟式・引渡し・引っ越し全てにおいて向いています。

    ■赤口:できるだけ上棟式などのお祝い事は避けたほうが良いでしょう。11:00~13:00は活動に向いていますが急ぎ足になってしまいます。

不動産売買は自分だけでなく相手がいる取引です。全ての予定を大安に!お日柄悪い日は絶対に避けて!などと気にしすぎてしまうとまったく事が進みません。無理なく可能な限り自分も相手も納得できる形で物事をすすめていきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか、今回は六曜についてお話しさせていただきました。 

昨今はスマートフォンの普及によりカレンダーアプリを使用する人が増えてきました。また、六曜が記載されていないカレンダーもみられますし、そもそも家にカレンダーを置いていない人もいるかもしれません。

時世柄、若い世代になるにつれて六曜の存在を知らないということもあり得ます。そうなると今後六曜は衰退していく可能性も出てきます。

確かに六曜は迷信であり意味がないものともいえます。それでも大事な物事を行う日は「げんを担ぎたい」「なるべく縁起が良い日がよい」という思いがあるのも事実です。何より時代を超えて引き継がれてきた日本の風習でもあります。

迷信を信じる、信じないは人それぞれです。
ですが、六曜とは私たちの生活のなかで「何かを大切にしたい」という思いを大事にできる、ひとつの指標ともいえるのではないでしょうか。

 

※参考文献:岡田 芳朗(2012) . 『暦ものがたり』 . 角川ソフィア文庫
※参考サイト:国立図書館デジタルコレクション . https://dl.ndl.go.jp/ 千葉商科大学学術リポジトリ . 荒川敏彦、下村育世『戦後日本における暦の再編(1)』.https://cuc.repo.nii.ac.jp コトバンク.  https://kotobank.jp/

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