新井“代打の神弾” 9回5点差大逆転「回ってくる予感していた」

[ 2017年7月8日 05:35 ]

セ・リーグ   広島9―8ヤクルト ( 2017年7月7日    神宮 )

9回2死一、三塁、新井が逆転3ランを放ち、拳を突き上げる
Photo By スポニチ

 どこまで強いんだ。広島は7日、ヤクルト戦で5点ビハインドの9回に3本塁打で6得点を奪い、9―8の大逆転勝ちを収めた。2本のソロ本塁打などで2点差に迫り、新井貴浩内野手(40)が19年目で自身初となる代打逆転3ランをバックスクリーンに叩き込んだ。2位・阪神とのゲーム差は今季最大の8に広がった。

 七夕の夜空に、願いをかなえる打球が舞い上がった。劇的すぎる勝利を運んできたのは代打・新井だった。9回2死一、三塁。小川の145キロ直球を打ち砕くと、逆転の7号3ランはバックスクリーンを直撃した。湧き上がる大歓声に神宮が揺れた。中には涙を流すファンもいた。

 「正直、回ってくるんじゃないかという予感はしていた。みんながつないでつないで回してくれた。誰一人諦めていなかった」

 5点を追う9回。バティスタの一発が逆転劇への号砲だった。代わったばかりの小川の初球を6号ソロ。1死後には菊池も6号ソロを放った。さらに松山の左中間二塁打で2点差。西川が二塁内野安打でつなぎ、真打ちの「新井さん」が8人目の打者として打席に入った。代打本塁打は自身11本目。逆転弾は初めてだった。

 「準備をするのが自分の仕事だから」。昨季のリーグMVP。今季は鈴木が4番に定着したこともあり、出番は減っている。この試合まで代打成績も17打数3安打の打率・176。それでも40歳のベテランは、決して準備を怠らない。気温の上昇とともに、体調管理のために週2度のウエートトレを開始。梅雨前には遠征先でウオーキングも取り入れた。「がくんと(成績が)落ちることがないよう意識的にやっている」。不惑。その姿勢に迷いはない。

 「ビジターだけど、こんなにたくさん声援をもらって感謝しています。本当にいつも、いつも、いつも、ありがとうございます!」

 ヒーローインタビューで、新井は「いつも」という言葉を3度繰り返し、感謝の思いを伝えた。この日の神宮はチケット完売。首都圏の試合に広島ファンが大挙して訪れるのは、今や当たり前の光景となっている。これで2位・阪神とは8ゲーム差。6回終了時には1―7の劣勢だったが、6点差をひっくり返しての勝利は球団では7年ぶりだった。

 七夕の夜の奇跡といえる今季28度目の逆転勝利。リーグ連覇を果たした時には、ターニングポイントとして語り継がれるだろう。

続きを表示

2017年7月8日のニュース