新井さん 歴代最多517投手から安打 谷繁に並ぶ「使っていただいた方々に感謝」

[ 2017年5月5日 05:30 ]

セ・リーグ   広島8―7中日 ( 2017年5月4日    マツダ )

<広・中>8回1死二塁、右翼線に勝ち越し適時打を放ち、二塁に滑り込んでドヤ顔の新井
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 広島・新井貴浩内野手(40)がまた一つ偉業を達成した。4日の中日戦で8回、代打で三ツ間から決勝の右越え二塁打。安打を放った投手は谷繁元信(前中日監督)に並ぶ歴代最多の通算517人となった。4点差から今季11度目の逆転勝ちを収めたチームは5月負けなしの3連勝。同カードは80年以来37年ぶりの開幕5連勝とした。

 本拠地の大歓声が心地よかった。西川の一発で試合を振り出しに戻した8回、なおも1死二塁。すさまじい「新井コール」に送られ、代打指名された40歳が打席に入る。相手は過去1打席の対戦で遊飛だった2年目の三ツ間。2ボール1ストライクからの4球目だ。

 「皆がつくってくれたチャンス。何とかしたいと思っていた。強引にならないようにセンターへ…という意識だった」

 142キロの外角直球を捉えると、打球は前進守備を敷く右翼手・平田の頭を越えた。シーソーゲームに決着をつける勝ち越し二塁打。「声援が聞こえた。打って、喜んでもらいたいと思っていた」。二塁ベース上で笑顔がはじけた。

 休養を取らせる意味合いもあり、今季9度目のベンチスタート。代打待機する際はいつ指名されてもいいように、4回あたりから自発的に準備する。それが新井の流儀。ベテランになると動きが鈍くなりがちだが、この男には当てはまらない。

 過日、胃がん闘病中の赤松がフッと漏らしたことがある。「ベンチスタートの時の新井さんは、早くから準備を怠らないし、どんな場面で使われても絶対に顔や態度に出さない。頭が下がる」

 この日も、新井は新井だった。「裏で準備しながら、皆凄いなと思って見ていた。ほんと頼もしい」。無邪気に笑う一方で平然と言った。「言われたところでベストを尽くす。スタメンでも代打でも、それは変わらない」。最年長野手の姿勢が浸透するチーム。一丸の逆転劇は必然だった。

 19年目。99年5月12日にプロ初安打を奪った巨人・ホセから数えて、攻略した投手は三ツ間が517人目になった。谷繁に並ぶ歴代最多の勲章。「長くやらせてもらっているからこそ。使っていただいた方々に感謝したい」。連盟表彰される記録ではないものの、偉業なのは間違いない。

 「どこが相手でもやることは同じ。一試合一試合、今日のように、カープらしい最後まで諦めない野球をやりたい」

 5日からは2位・阪神と甲子園で3連戦。救援のドリス、柳瀬からはまだ安打を放っていない。ゴールデンウイークの首位攻防戦。単独1位のメモリアルを刻むにはふさわしい舞台だ。 (江尾 卓也)

 ≪3085安打の張本は300人≫新井(広)が8回に代打で決勝二塁打。通算2134安打となり、宮本慎也を抜いて歴代単独24位となった。三ツ間(中)からは初安打。安打を記録した投手が517人となり、プロ野球最多の谷繁元信に並んだ。安打を放った投手数の多い選手5傑を見ると、いずれも05年開始の交流戦を経験。3位の阿部(巨)以外は複数球団の所属経験がある。過去の強打者ではプロ野球最多3085安打の張本勲が300人。同2位2901安打の野村克也は272人。交流戦の恩恵に加え、中継ぎや抑えといった分業制が進んだことも多くの投手との対戦機会を増やし、記録の後押しとなった。

 ≪イチロー桁違い日米1174人≫日米通算で4313安打(日1278、米3035)を記録しているマーリンズのイチローは、これまで1174投手から安打を放っている。日本では188人。メジャーではこの日、初対戦のレイズの新人プルイットから安打し、986人目となった。

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