初代チャンピオンに輝きナインに胴上げされる香川の西田監督=サーパススタジアム
四国チャンピオンがチーム一丸で初代王座に―。プロ野球の独立リーグ日本一を決める「グランドチャンピオンシップ」(3戦先勝方式)は28日、香川県高松市生島町のサーパススタジアムで第4戦を行い、2勝1敗で王手をかけていた香川オリーブガイナーズ(四国アイランドリーグ)が石川ミリオンスターズ(北信越BCリーグ)に4―0で快勝し、初優勝を決めた。
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大会終了後、四国アイランドリーグの鍵山社長から香川の西田監督に優勝カップが、石川の金森監督には盾が贈られた。最優秀選手には香川の堂上捕手が選ばれた。
投手陣が安定 香川・西田真二監督の話
1年目でここまで来た石川の選手に敬意を表したい。うちはいかに1点を取り、1点を守るかという野球ができた。投手陣の安定があればこそ。加藤コーチがよく引っ張ってくれた。
最後は力尽きた 石川・金森栄治監督の話
力不足。選手はいつも通りよくやったが最後は力尽きた。まだまだ四国アイランドリーグが(実力は)上。うちはこれからです。
3000人のファンが歓声
「記念すべき独立リーグ日本一の瞬間を楽しみにして来た」。球場に詰め掛けたガイナーズファンは、一塁側スタンドで勝利を願ってメガホンを打ち鳴らし、香川のチームカラーの緑のタオルを振って熱心な声援を送り続けた。
ファンの熱気に後押しされたかのように二回には丈武が先制弾。始球式の投手を務めた高松ファイブアローズのジョージ・リーチ選手は迫力の本塁打に「バスケット同様、野球もエキサイティングだ」と興奮した。
最後の打者の打球が丈武のファーストミットに収まると、球場を埋めた3000人を超すファンから大歓声。ナインとともに初の日本一に酔いしれた。
地元少年野球チームに所属する高松市扇町の地下淳史君(8つ)は、五回の三輪の三塁打に「打つのもすごいし、足も速い。将来の目標」と目を輝かせていた。
個々の能力ワンランク上 香川
「これが本来のガイナーズの試合。集大成の野球ができた」。今季、4度目の宙に舞った西田監督が自信に満ちた表情で現チーム最後の試合を振り返った。
4―0。点差はそれほどでもないが、香川の完勝だった。先発松尾は3回で5者連続を含む6奪三振。守りで負傷し、降板するアクシデントがあったものの、つないだ金子、グラタン、天野も無失点。分厚い投手陣が石川打線に立ちはだかった。被安打は計2本。二塁を踏ませないばかりか、9回を最少の27人で片付けた。
「チームとしての差はない。でも個々の能力はワンランク上。NPBとの交流戦を含め、経験の差だろう」と西田監督。守りでは野手の出足、肩、送球の判断など、あらゆる面で香川のレベルが上回った。
攻撃では、先制弾の丈武、ダメ押し弾の近藤が目立ったが、主将の井吉は「投手がワンバウンド投球した時に走者がスタートを切っているかどうか」と一つ先の塁を狙う姿勢の違いを指摘。球の見極め方にも差があった。
最優秀選手に選ばれた捕手の堂上は「レベル差はどうこう言えないが、自分たちがやるべきことをやった結果」と説明。独立リーグという真剣勝負の場で切磋琢磨(せっさたくま)しながら着実に成長を遂げた代表格は事もなげに語った。
NPBも注目の“スター選手”がそろったチームはこの日でピリオド。来季からは九州2球団を加えたリーグで再スタートする。西田監督は「今後の手腕にかかっているが、新しいガイナーズも楽しみにしてほしい」とにっこり。まだまだ進化しそうな気配だ。