柔道・全日本選抜体重別選手権大会最終日(7日、福岡国際センター)世界選手権(8月25日開幕、東京・日本武道館)の最終代表選考会。男子73キロ級は、2016年リオデジャネイロ五輪王者の大野将平(27)=旭化成=が3年ぶり3度目の優勝を飾り、世界選手権代表に大きく前進した。この日の競技終了後に、最重量級を除く男女各6階級の世界選手権代表が決まる。
相手に殺気を感じさせながら、大野が闘い抜いた。集中、執念、我慢。日頃から大事にする言葉を胸に畳で躍動した。頂点に立ち「(今大会を)ものにできて、安心している」と振り返った。
石郷岡秀征(筑波大)との初戦は、延長戦で指導3を奪って退けた。66キロ級で2大会連続銅メダルの海老沼匡(29)=パーク24=との準決勝は互いに一進一退の攻防が続いた。それでも9分を超えたところで、大野が技ありを奪った。決勝は同い年の17年の世界王者・橋本壮市(パーク24)を下した。粘り強く闘い、8分30秒で一瞬の隙を突いた。技ありを奪い、強さを証明した。
「(リオ五輪とは)比べようがない。あの時は4年間積み上げてきたものだった。今は1年間休んだなかでやっている。4年間を踏まえて新しい違った自分がいる、と思う。違った柔道家・大野将平を作り上げたい」
リオ五輪後、休養を経て昨年1月に競技に本格復帰。その後は五輪王者としてライバル勢に徹底マークを受ける中、同8月のジャカルタ・アジア大会など出場した全4試合の国際大会で頂点に立ち、結果を残してきた。今大会の優勝で、4年ぶりの世界選手権代表切符をほぼ手中に収めた。
今後の闘いに向けて、大野は「勝ち続けることで、自分自身にしかない境地を得られると思う。(試合の)畳の上で稽古と同じパフォーマンスができるように高めていきたい」と意気込んだ。