プロ6年目の日本ハム・松本剛内野手(23)が、25日のソフトバンク戦(北九州)でプロ初本塁打を含む2本塁打4打点。最下位にあえぐチームにとって、唯一の明るい話題となった。
松本は東京・帝京高で1年からレギュラーとして活躍し甲子園に3度出場した経歴を持つ。2012年にドラフト2位で日本ハムに入団。同年1位指名の菅野(東海大→巨人)が入団を拒否したため、事実上の1位となり大型内野手として期待されていたが、ここまで実力を発揮できていなかった。
まじめなナイスガイでもある。13年の2軍の沖縄・国頭キャンプ、当時の注目ルーキーだった大谷翔平投手(23)が、中学以来となる遊撃手に挑戦する中、一緒にノックを受けていたのが、2年目の松本だった。現在は持ち前の打撃を生かすため主に外野を守るが、当時は内野手。他の野手とタイミングが合わず、送球を後逸するなど苦戦する大谷に「質問してくれれば教える」とサポートを約束。毎日のように取材に追われる後輩を「大変だと思う」と気遣っていた。
その優しさはいまも変わらない。15年12月下旬の千葉・鎌ケ谷市の2軍施設での自主トレ期間中のことだった。一緒に練習をしていた大谷が「外で打ちたい」と、同時期では異例の屋外でのロングティーを希望。大谷がインタビュー取材に応じている間に松本が球団関係者に頼み込み、実現させた。
後輩からの信頼も厚いが武田久、矢野らベテラン選手からも、かわいがられる。入団2年目のオフに地元の埼玉・川口市で行われた成人式では「次の日、朝から(金子)誠さん(現1軍打撃コーチ)と練習をする約束があった」と、同窓会を途中退席。真摯(しんし)に野球に打ち込む姿勢が評価されている。
プロ6年目にして巡ってきた、レギュラー定着のチャンス。地道な努力で大輪の花を咲かせてほしい。(中田愛沙美)