紫衣事件、慶喜の将軍宣下…歴史動いた二条城「勅使の間」、期間限定で特別入室

特別入室できる二条城の「勅使の間」=京都市中京区
特別入室できる二条城の「勅使の間」=京都市中京区

世界遺産・二条城(京都市中京区)の二の丸御殿の特別入室が19日から始まる。天皇の使者である勅使を迎える「遠侍勅使の間」に入室し、朝廷と江戸幕府の談義の最前線の雰囲気や、桃山時代後期に見られる迫力のある画風が楽しめる。8月21日まで。

勅使の間は、寛永3(1626)年の二の丸御殿の改修時に造られた。身分の高い人が座るための上段を設けるなど他の部屋との共通点がある一方で、将軍が業務で使用する「付書院」がないなどの構造が特徴という。後水尾天皇が幕府に無許可で大徳寺の僧侶などに紫衣の着用を許可した「紫衣事件」により悪化した朝廷と幕府の関係改善や、徳川慶喜の将軍宣下の際にも使用された。

部屋の周囲は、桃山時代後期から江戸時代初期に活躍した狩野派の狩野甚之丞(じんのじょう)(1583~1628年)が描いた障壁画の模写が囲む。勢力争いが絶えなかった当時はダイナミックな絵が求められる傾向があった。それを示すように、葉先が鮮やかな赤に色づくアオカエデが雲を突き抜け伸びる様子が、2枚の障壁画で表現されている。障壁画の原画の一部は、二条城内の展示収蔵館で鑑賞ができる。

学芸員の降矢淳子さんは「普段は入れない部屋に入り当時の空気を感じてほしい」と話していた。

午前8時45分~午後4時10分(入城は午後4時まで)。火曜休止。入城料金が必要。問い合わせは二条城事務所(075・841・0096)。(鈴木文也)

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