知床事故、遺族が社長提訴 「安全配慮義務に違反」

沈没後、海面上までつり上げられた観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」の船体=令和4年5月26日、北海道斜里町沖
沈没後、海面上までつり上げられた観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」の船体=令和4年5月26日、北海道斜里町沖

北海道・知床半島沖で昨年4月に起きた観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故で、運航会社「知床遊覧船」が安全配慮義務に違反したなどとして、死亡した甲板員の曽山聖さん=当時(27)=の両親が、同社と桂田精一社長(59)に計約1億1900万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴したことが5日、分かった。

事故を巡り、会社側の民事責任を問う訴訟が明らかになるのは初めて。訴状は2月28日付。会社側は5月26日付の答弁書で請求棄却を求めており、今後、第1回口頭弁論の期日が決まる見通し。

訴状で両親側は、運航会社には船の安全確保のために設備などを管理する義務があったと指摘。桂田社長は、必要な実務経験がないのに運航管理者などの役職に就き、事故当日も出航中止を命じなかったとして「重過失どころか故意が認められる」としている。

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