埼玉・選挙イヤー、各陣営動き出す 知事選や統一地方選など50超

賀詞交歓会であいさつする大野元裕知事=5日午前、埼玉県議会(中村智隆撮影)
賀詞交歓会であいさつする大野元裕知事=5日午前、埼玉県議会(中村智隆撮影)

埼玉県内では今年、50を超える選挙が集中する「選挙イヤー」だ。4月には統一地方選があり、前半では県議選とさいたま市議選、後半では30以上の首長選、市町議選が行われる。そして夏には知事選が控える。〝卯年決戦〟に向け、各陣営は準備を加速している。

注目度が高いのは知事選だ。大野元裕知事の任期満了を8月末に控え、再選出馬の動向などをめぐって、さまざまな観測が浮上し始めた。

大野氏は令和元年8月の知事選で旧立憲民主、旧国民民主両党などの支援を受け、与党推薦候補らを抑えて勝利した。就任後は新型コロナウイルスなどの危機対応で手堅い手腕を見せ、一定の評価を得ており、2期目の続投を期待する声も少なくない。

大野氏は再選出馬の意向を明らかにしていない。ただ昨年7月の参院選埼玉選挙区(改選数4)で自民、公明、立憲民主各党の公認候補と、国民民主党が推薦した前知事の上田清司氏を応援するなど、立候補に向けた地ならしととれる動きも見受けられる。

こうした中、令和元年の知事選で対抗馬を立てた自民党は、次期知事選で対立候補を擁立する機運に乏しい。党県連関係者は「大野知事を応援するだろう」と話している。

ある県政関係者は「県議会の他会派も大野氏を応援するだろう。有力な対抗馬となり得る候補は出るだろうか」と話した。

知事選に先立つ大型選挙が統一地方選だ。前半の4月9日に行われる県議選に向けては、すでに各陣営が動き始めている。

県議会で過半数の49議席を有する自民党は、これまでに現職44人、新人13人、元職1人の計58人の公認・推薦を決め、さらなる党勢拡大を図る。公明党は現有9議席の維持を目指し、現職7人と新人2人を擁立する構えだ。

8議席を有する立民系会派の埼玉民主フォーラムでは、立民が現時点で現職5人と新人6人の計11人の公認を決めている。会派の他の現職2人も立候補する見通しだ。共産党は現職2人、新人7人の計9人を立て、現状の6議席からの飛躍を目指す。

このほか、これまでに日本維新の会が3人、れいわ新選組が1人を立てると決め、新たな議席を狙う。

無所属議員11人を擁する無所属県民会議からは、このうち10人が立候補する見通しだ。新人3人を推薦することも決めている。

議席をかけたつばぜり合いに加え、関係者の間では次期知事選をにらみ与野党に気配りする全方位外交を展開しているとみられる大野氏が県議選でどう動くかにも関心が集まりそうだ。

次の県議選では、北1区(秩父市)と北2区(横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町・東秩父村)が合区となり、選挙区は現行の52から51に減る。現在の定数はそれぞれ1だが、合区後は2となる。総定数は93で変わらない。

さいたま市議選でも選挙区の定数が見直され、緑区で1増やして6とし、桜区で1減らして4とする。

統一地方選後半の投開票は同月23日に行われる。行田、北本、毛呂山の3市町長選と川口、川越などの20市議選、鳩山、美里などの12町議選を予定している。

統一地方選の結果は地方のみならず国政にも影響する可能性がある。ある県議は「岸田文雄首相の衆院解散をめぐる判断にかかわるかもしれない」と話した。

このほかには、夏以降、任期満了に伴って所沢市長選や狭山市長選などの首長選、朝霞市議選や杉戸町議選などの市町議選が行われる見通しだ。(中村智隆)

会員限定記事会員サービス詳細