鈴木財務相「日銀、政府の子会社でない」 安倍氏発言を否定

鈴木俊一財務相(矢島康弘撮影)
鈴木俊一財務相(矢島康弘撮影)

鈴木俊一財務相は13日の閣議後記者会見で、安倍晋三元首相が日本銀行について「政府の子会社だ」と発言したことを受け、「日銀には金融政策や業務運営の自主性が認められている。『政府の子会社』には当たらない」と否定した。新型コロナウイルス収束後もアベノミクスの積極財政路線の継続を期待する声に対し、予防線を張った形だ。

鈴木氏は「政府は日銀に対して55%出資しているが、議決権は持っていない」と指摘。会社法では子会社について議決権の過半数を持ち経営を支配している法人と定めており、規定にそぐわないと説明した。

その上で、「今後も永続的に日銀が国債を買い入れるとの前提に立った財政運営は適切とは考えていない。市場の信認を失うような事態を招くことがないようにする必要がある」と強調。日銀の大規模な金融緩和に依存した財政赤字の拡大に警戒感を示した。

安倍氏は今月9日、大分市での会合で「1千兆円ある(政府の)借金の半分は日銀が買っている」と説明し、「日銀は政府の子会社だ。60年の(返済)満期が来たら借り換えても構わない。心配する必要はない」と主張していた。

政府内では新型コロナウイルス禍での大規模な経済対策で財政赤字が拡大したことを踏まえ、増税などによる財政健全化の推進を求める声があるが、与党内ではこれに反発する声も強まっている。夏の参院選に向け、今後はつばぜり合いが強まりそうだ。(加藤園子)

会員限定記事会員サービス詳細