ウクライナ発の作品展示 平和願い京都・山科の寺で

ウクライナ国歌や民謡を披露したエバ・ハダシさん=京都市山科区の法厳寺
ウクライナ国歌や民謡を披露したエバ・ハダシさん=京都市山科区の法厳寺

ウクライナ在住の芸術家ら6人の作品を紹介し、ロシアによる侵攻で困難な生活を強いられている現状や心境を伝える展示会が、京都市山科区の法厳寺で開かれている。

戦時下のウクライナに暮らす芸術家が詠んだ俳句の掛け軸などが並ぶ展示会場=京都市山科区の法厳寺
戦時下のウクライナに暮らす芸術家が詠んだ俳句の掛け軸などが並ぶ展示会場=京都市山科区の法厳寺

展示会は、京都を中心に海外の芸術家らと交流しながら日本文化を発信している中村正司さんが企画。法厳寺の田中祥祐住職が「ウクライナのことを知り、平和を願うことが大事」と賛同し、実現に至った。

会場には、中村さんと交流のあるウクライナの女性芸術家ら6人によるロシア侵攻前後の作品を展示している。

東部のドニプロ在住のコピーライター、カテリーナ・ミロヒナさんは露軍侵攻後の様子を5句の俳句で表現。《ひまわりや 風に戦(そよ)ぎて 露の跡》には、ヒマワリが揺れる夏には露軍が去っていることを切望する気持ちが込められている。

また、幸運を呼ぶとされるコウノトリの一種、シュバシコウと戦場の対比が印象的な《戦場に 春を探して 朱嘴鸛(シュバシコウ)》という句も。住職の妻の里祥さんが俳句を墨書し掛け軸にした。

このほか、ウクライナの自然を描いた絵画や日本とのつながりを示す生け花などの作品約60点を現地から送られてきた写真で紹介している。

展示は、首都キーウ(キエフ)と姉妹都市の京都市や在日ウクライナ大使館が後援。期限を設けずに当面展示し、義援金の寄付を呼びかけている。

17日は同寺の本尊御開帳法会で採燈護摩供が営まれ、山伏らが戦争終結を祈願。日本に住むウクライナ人の女性歌手、エバ・ハダシさんが同国の民謡や国歌を披露した。

戦争終結を願う御詠歌「平和観音」を詠じた阪部美智子さんは「普通の生活が奪われる不幸を感じ、もどかしい。ウクライナの思いを受け止めたい」と話した。(川西健士郎)

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