露、欧州評議会を脱退 評議会は即時除名 ウクライナ、東部での病院占拠を非難

16日、フランス・ストラスブールの欧州評議会で取り外されるロシア国旗(AP=共同)
16日、フランス・ストラスブールの欧州評議会で取り外されるロシア国旗(AP=共同)

ロシア外務省は15日、欧州の人権保護などを目的とした国際機関「欧州評議会」(フランス・ストラスブール)から脱退すると発表した。同評議会が作成した欧州人権条約からも離脱する。同評議会の閣僚委員会は16日、ロシアの除名を決定。除名は即時に発効した。

一方、ウクライナ政府は同日、ロシアによる侵攻で、激しい戦闘が続く東部マリウポリの病院をロシア軍が占拠し、入院患者や職員ら約400人を人質にしてウクライナ側を攻撃していると非難した。露軍は病院を15日に占拠したという。ウクライナメディアが伝えた。

また、ウクライナのベネディクトワ検事総長は同日、露軍の侵攻により死亡した子供が少なくとも100人を超えたとフェイスブックで発表。実際はさらに多い恐れがあるとした。露軍が包囲し、砲撃を続ける東部ハリコフ当局も、露軍の攻撃で500人を超す民間人の死亡が確認されたと明らかにした。

15日には、ポーランド、チェコ、スロベニアの首脳らが欧州連合(EU)代表としてウクライナの首都キエフを鉄道で訪れ、ゼレンスキー大統領と会談。また、ロシアとウクライナの代表団による停戦交渉が14日に続きオンライン形式で行われた。ウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏は交渉後、ツイッターで「交渉は困難だ。根本的な見解の相違がある」と述べた一方、「歩み寄りの余地がある」と進展への期待感も示した。交渉は16日も継続される。

欧州評議会の閣僚委員会は先月25日、ロシアの投票権を一時停止とし、除名に向けた手続きが進められていた。

露外務省は欧州評議会からの脱退を表明した声明で、「北大西洋条約機構(NATO)とEU諸国は欧州評議会を反露政策の道具に変えてきた」と主張。ロイター通信によると、同評議会からの脱退は1960年代後半の軍事クーデターに伴う除名に先んじて脱退したギリシャ(後に復帰)に続き2例目。同評議会は49年に設立。ロシアは96年に加盟した。

同評議会や欧州人権条約からの離脱で、露国民は欧州人権裁判所に救済を申し立てられなくなる見通し。

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