東北激震 脱線・亀裂 耐震対策及ばず

常磐自動車道の新地IC付近の亀裂=17日午前、福島県新地町(東日本高速道路のツイッターから)
常磐自動車道の新地IC付近の亀裂=17日午前、福島県新地町(東日本高速道路のツイッターから)

宮城、福島両県で震度6強を観測した16日の地震では、東北新幹線が営業運行中の新幹線として2例目の脱線事故を起こした。路面のひび割れなどが相次いだ高速道路も通行止めとなり、大動脈が寸断された。専門家はコスト面を考慮しつつ、対策強化の必要性を改めて指摘する。

東北新幹線下りのやまびこ223号は白石蔵王駅(宮城県白石市)の約2キロ手前で地震を検知し、自動停止。17両中16両が脱線した。橋脚や電柱の損傷、レールのゆがみも見つかった。

営業運行中の新幹線の脱線は、平成16年10月の新潟県中越地震での上越新幹線以来2例目。国土交通省によると、中越地震後に立ち上げた脱線対策協議会での検討を経て、JR東日本を含む新幹線事業者各社は、各種対策を進めてきた。

JR東によると、今回の車両や当該区間のレールには、脱線時にも転覆を防ぐための装置が設置されていた。車輪の大半がレールから外れているのが確認された一方、並走する上り線への横倒しなど甚大化は避けられたとの見方もある。

高速道路では、東北自動車道下り線で約50メートルにわたり地面のひび割れが発生。常磐自動車道では10センチ程度の段差が発生した区間もあり、計11路線で一時通行止めになった。

名古屋大減災連携研究センターの福和伸夫教授(地震工学)は「巨大地震から交通インフラを守るには、新幹線では橋梁(きょうりょう)の耐震強化やレール対策、道路は地盤対策などハード面の強化が必須」と分析。さらに新幹線には「地震波動の感知システムの精度向上なども求められる」と指摘した。

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