スタートアップ支援強化で専門部署新設、経産省

経済産業省=東京都千代田区
経済産業省=東京都千代田区

政府は30日、急成長するベンチャー企業などを指す「スタートアップ」の創出支援強化のため、経済産業省内に専門部署を新設すると明らかにした。12月1日付で同省内に「スタートアップ創出推進室」を設け、政策統括調整官を置く。従来、省内で分かれていたスタートアップ関連部局の案件を取りまとめ、推進に向けた施策の一体化や、総合的な政策立案を急ぐ。

岸田文雄首相は、新たな成長につながる領域としてスタートアップ支援の強化を挙げている。ただ現状は、事業を確立してから世界を目指す傾向が強いほか、海外から資金や人の流入が進まず、結果として企業評価額が10億ドル以上、設立10年以内の非上場ベンチャー企業を指す「ユニコーン」など巨大ベンチャーが生まれにくい状況にある。

新設部署では、こうした状況を打破し、先行する欧米や中国などと互角に戦えるスタートアップ創出や支援体制の強化を図る。また、経産省に関連する独立行政法人のスタートアップ担当者を参事とすることも調整する。

経産省によると、令和2年度調査で、大学発のベンチャー企業数が前年度比339社増の2905社で過去最高となるなど、国内でもスタートアップの拡大機運が高まっている。政府としても、こうした動きをとらえ、産業成長力につなげたい考え。

3年度補正予算案では、経産省関連で、創薬ベンチャー開発支援などに500億円、地域の技術などを活用した研究開発型のスタートアップ支援事業に33億5千万円などを充てている。(那須慎一)

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