南ア市長選に中込元市長が出馬表明 「完熟農園再開目指す」

 南アルプス市の中込博文元市長(70)が4日、同市内で会見し、4月26日の任期満了に伴う市長選に無所属で立候補すると表明した。市長選には現職の金丸一元氏(69)が立候補を表明しており、選挙戦が確実となった。

 中込氏は元陸上自衛官。県議を経て、平成23年の市長選で初当選したが、27年に現職の金丸氏に敗れた。在任中に整備を進めた同市寺部の「南アルプス完熟農園」の運営会社は28年2月、金丸氏の判断で経営破綻に至った。

 中込氏は「現職には政策ビジョンがなく、合併特例債を4年で使い切ってしまうなど財政運営が硬直化している。現市政を継続すべきではないと考えた」と立候補の理由を述べた。

 さらに、完熟農園について「農業の6次産業化を目指して立ち上げたが、現職は事業開始から半年で閉鎖し、いまなお方向性を出していない」と批判。選挙戦では事業再開や財政健全化を争点とし、有権者の審判を仰ぐ考えを強調した。

 完熟農園は約7億円の負債を抱えて破綻したが、中込氏は「市が多くの部分を出資しており、数千万円の費用で市所有にできる。民間企業の参加を促す『公設民営方式』で早急に事業再開したい」と再開を目指す考えを示した。

 一方、金丸市長は完熟農園について、「運営会社の経営計画の甘さが破綻を招いた」として再開を断念。企業誘致で敷地を農業、観光、地場産業などに利活用する方針を示している。

 前回の選挙戦は市庁舎新設問題が争点となり、新築を求めた中込氏に対し、増改築を訴えた金丸氏が当選した。その後、28年3月の住民投票でも増改築が多数を占めた。

 このため、中込氏は市庁舎の増改築に関しては「自分が当選しても継続する」と理解を示した。

会員限定記事会員サービス詳細