馬毛島開発会社に破産申し立て 米軍艦載機訓練の移転候補地 防衛省、買収視野

 鹿児島県の馬毛=まげ=島(西之表=にしのおもて=市)の土地を所有する東京の開発会社「タストン・エアポート」が、債権者から同社の破産を東京地裁に申し立てられていたことが27日、分かった。地裁は15日付で保全管理命令を出し、会社側の意見も聞いた上で破産手続き開始の可否を判断する。馬毛島は米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地で、防衛省は破産手続きが進めば競売が行われる可能性が高いとみて購入額を精査する作業に入った。

 帝国データバンクなどによると、平成28年10月末時点での同社の負債総額は約240億円。

 FCLPは空母艦載機が陸地の滑走路を空母の甲板に見立てて離着陸する訓練で、パイロットの空母着艦資格の取得や技量向上に不可欠。昭和57年から厚木基地(神奈川県)で行われていたが、騒音の深刻化で代替施設が確保されるまでの暫定措置として平成3年から硫黄島(東京都)で実施されてきた。

 一方、横須賀基地(神奈川県)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの約60機の艦載機は今年3月、厚木基地から岩国基地(山口県)への移駐が完了。硫黄島まで遠くなり、FCLPは非効率となる。

 そのため防衛省は岩国基地に近い馬毛島へのFCLP移転を目指してきたが、タストン社との用地買収交渉は価格面の開きから難航し、代替地も選定したが、適地はなかった。競売になれば「防衛省が想定する価格で買収できる」(政府高官)と指摘される。

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