テロ等準備罪

「手綱や鞍を使わず馬に乗ろうとするようなもの」 国連特別報告者のケナタッチ氏、法案に改めて懸念

 共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」の新設に向けた組織犯罪処罰法改正案に対し、懸念を表明する書簡を日本政府に送った国連特別報告者のケナタッチ氏が9日、東京都内で開かれた日本弁護士連合会のシンポジウムにインターネット中継で参加し、「日本政府として反論があるならば、私の質問に答えるべきだ」と話した。

 ケナタッチ氏は5月18日付の書簡で、法案が「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘。日本政府は「政府が直接説明する機会を得られることもなく、公開書簡の形で一方的に発出された。内容は明らかに不適切」と抗議していた。

 ケナタッチ氏は「通常は政府に非公開の書簡を送って回答を待つなどのプロセスを経る」と説明。ただ、今回の改正案については「国会で議論が始まった当時から(法案成立までの)タイムテーブルが明確に決まっていた。日本の人々の利益を守るために最も賢明な行動としては、公開の書簡を送り、私の懸念を明らかにすることだと考えた」とした。

 また、改正案の内容については「私の友人が、手綱や鞍などの安全装置を使わずに馬に乗ろうとしているようなもの。友人に対し、落馬の危険があるということをまず伝える義務があると思った」とも話した。

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