日本遺産に丹後ちりめん回廊 300年の伝統評価 府北部2市2町歓喜

 文化庁が28日、日本遺産に認定した「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」。ちりめんを織る技法が京都・西陣から丹後に伝わって約300年の歴史と伝統が評価された。日本遺産を構成する文化財が点在する府北部2市2町では喜びの輪が広がった。

 同回廊は京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町の2市2町の有形、無形の文化財48点で構成。府内の日本遺産は3件目で「絹織物の生地の約6割を生産する国内最大の産地で、織物の営みが育んだ町並みや、宮津節で歌い継がれた天橋立などの象徴的な風景を巡れば、約300年にわたる織物の歴史と文化を体感できる」として認定された。

 28日夕、丹後織物工業組合(京丹後市大宮町)で認定を祝うセレモニーが開催。関係者約100人が出席し、くす玉を割るなどして認定を祝った。

 認定を受け、山田啓二知事は「丹後ちりめんに関する歴史・文化が評価され、大変ありがたい。織物産業の振興を進めるとともに、『海の京都』の取り組みも強力に推進したい」などとコメントした。

 一方、構成文化財である与謝野町加悦の「ちりめん街道」。江戸時代〜昭和初期に丹後ちりめんの反物を運ぶ商人らの宿場町として栄え、平成17年には重要伝統的建造物群保存地区に指定された。

 アンティークの着物販売などを通じて「ちりめん街道」のにぎわいづくりに尽力してきた団体「この丹後のかたすみで(旧ちりめん街道女子会)」。代表の三田智子さんは「認定は私たちの活動に追い風になり、大変ありがたい。ちりめん街道にさらに多くの人に来てもらえるよう新たな方策を模索したい」と話した。

 ちりめん街道の観光名所・旧尾藤家では、ゴールデンウイークの5月3〜5日、住民らが着物姿で観光客を迎え、日本遺産認定をアピールする。

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