つがいの2羽だけでも…兵庫・伊丹の昆陽池で鳥インフルが猛威 市のシンボル、コブハクチョウが大ピンチ

 兵庫県伊丹市の昆陽池(こやいけ)で、コブハクチョウ1羽が高病原性鳥インフルエンザ(H5N6亜型)で死んでから20日で1週間となる。19日までに市が飼育する25羽のうち17羽が死んだ。簡易検査でもほとんどの死骸から鳥インフルエンザの陽性反応が確認され、集団感染の可能性が高まっている。残る8羽のうち、つがいの2羽は感染以前から繁殖のために別の場所で保護されており、関係者は「この2羽だけは何とか守りたい」と望みをかけている。

 市は13日に1羽が死んで以降、昆陽池に通じる道を封鎖。入り口付近は黄色いロープが張られる物々しい雰囲気で、市民らが心配そうに通り過ぎる。市民からは、昆陽池のコブハクチョウは市のシンボル的な存在として親しまれているという。

 市によると、昭和38年に市内でコブハクチョウ10羽を飼育し始め、48年に昆陽池公園の整備に合わせて昆陽池で飼育されるようになった。代々繁殖を続け、50年代には最大で約150羽にまで増えた。55年には市旗のデザインにハクチョウが採用され、平成13年には市立労働福祉会館・青少年センターが「スワンホール」と命名された。

 望みの2羽は繁殖目的で以前から隔離されていたが、市は感染拡大の恐れが強まった16日、ほかのコブハクチョウや野鳥と直接接触しないように、2羽をかごに入れて保護した。今のところ、元気だという。

 環境省は13日、昆陽池周辺10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定。周辺に養鶏場はなく、一般生活には影響がないという。市は今後、簡易検査で陽性反応が出れば殺処分する方針。

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