毛沢東がスカルノ政権に核技術供与の意向? 研究者の論文が脚光

 【シンガポール=吉村英輝】毛沢東・中国共産党主席(当時)が1965年、中国を訪れたインドネシア議会の議長らに核兵器の製造と保有を勧め、支援する意向を打ち出していた-とするシンガポールの中国研究者の論文が注目を集めている。インドネシアではこの後、スカルノ政権が退陣して核技術は供与されず、同国は今に至るまで核を保有していない。

 研究者は南洋工科大(シンガポール)の周陶沫助教授(31)。2014年の論文で、この件について初めて発表した。日本人研究者らが今年3月、1965年のインドネシアのクーデター未遂について、ジャカルタで刊行した著作で周氏の論文を紹介し、脚光を浴びている。

 周氏の論文の根拠は、同氏が入手したとする中国外務省の65年9月30日付の公文書「毛沢東主席と劉少奇主席によるインドネシア代表団との面会議事録」だ。

 論文によると、毛沢東はこの日、劉少奇・国家主席とともに、訪中したインドネシアのハイルル議長らと北京で面会。核兵器を保有したいという議長の希望を確認した後に、「製造すべきだ」と述べ、「核兵器を超大国2カ国に独占させるべきでない」と訴えた。

 毛沢東はさらに、「核兵器製造に必要な原料は自国内にあるのか」などと具体的に質問し、支援要請に「もちろん無条件で支援する」と応じていた。

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