若きカー娘、軽井沢から飛翔 来月開催、世界ジュニア選手権出場

 ■中高生の女子チーム「ローレル」

 カーリングの聖地ともいわれる軽井沢町の中高校生でつくる女子チーム「軽井沢ジュニア」(通称・ローレル)が、3月5日にデンマークで開幕する世界ジュニア選手権に出場する。1998年の長野冬季五輪でカーリングが正式競技種目となって以来、同町は国際大会やシンポジウムが多数開催されている。ここで育った若きカーリング娘たちが地元の熱い期待と日の丸を背負って「KARUIZAWA」の名をさらに世界にとどろかせようとしている。(三宅真太郎)

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 ゴー、ガコン…。ストーンがぶつかる乾いた音がこだまする氷の上に、「もっと右だよ」「うん、ちょうどいい」と若々しい掛け声が響き渡る。

 平日午後7~9時。ローレルのメンバー5人は連日放課後になると、練習場所の「軽井沢アイスパーク」に集まって切磋琢磨する。

 顔ぶれは、軽井沢高校3年のスキップ・土屋文乃(あやの)さん(18)、同校1年のサード・鈴木結海(ゆみ)さん(16)、軽井沢中学3年のセカンド・上野美優(みゆ)さん(14)、同校2年のリード・金井亜翠香(あすか)さん(14)、上野美優さんの妹で同校1年のセカンド・結生(ゆい)さん(13)だ。

 平成22年に設立された青少年カーリングチーム「軽井沢カーリング少年団」でともに技を磨き合ってきたメンバーで旧知の仲。チームワークは抜群だ。

 そんなチームが今年1月にフィンランドで開かれた21歳以下が出場するカーリング世界ジュニアB選手権で準優勝し、3月の世界ジュニア選手権への切符を手にした。

 同選手権は男女各10カ国が参加し、総当たり戦で4チームのみが決勝に進出する。聖地たる軽井沢町の女子チームがこのジュニア最高峰の国際大会にコマを進めたのは初の快挙だ。日本人女子では過去に、強豪のLS北見で活躍する藤沢五月選手らが出場した。世界で活躍する選手たちも通った道だ。

 「ローレルの平均年齢は出場チームの中でも相当低い方で若いチーム。世界レベルを相手に厳しい戦いとなり、本当の実力が試されるでしょう」

 チームを指導する松村なぎさコーチ(55)はそう話す。

 彼女たちが連夜、汗を流す軽井沢アイスパークは世界でも有数の通年型カーリング施設だ。25年に町が約21億円を投じて建設され、観客は仮設を含めると最大約千人を収容できる。

 また、男子日本代表のSC軽井沢クラブや女子の強豪、中部電力などと練習拠点を同じくするチームとの対戦や練習試合をする機会に加え、近くで鍛錬する日本代表選手から指導を受けるチャンスもあり、練習環境は最高といえる。

 松村コーチは「施設もさることながら、世界で戦う選手のバックアップも受けられて選手たちはとても恵まれている。この環境を生かして、どんどん力を付けていってほしい」と秘蔵っ子たちに目を細める。

 世界に旅立つ前にチームは今月4日、軽井沢町役場に藤巻進町長を表敬し、町長から「軽井沢はもとより日本代表として活躍を祈っている」と激励された。

 チームの司令塔である土屋さんは、国際舞台での躍動を力強く誓った。

 「初出場でチャレンジャーの立場だけど、一つずつ戦って勝っていきたい」

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【用語解説】カーリング

 「リード」「セカンド」「サード」「スキップ」と呼ばれる4人ずつで2チームに分かれて行う氷上のスポーツ。スキップが司令塔の役割を担う。交互に石(ストーン)を目標の円にめがけて滑らせ、ストーンを円の中心により近づけたチームが点を得る。日本カーリング協会によるとカーリングの競技人口(平成27年度に協会に登録した人数)は約2500人。半数近くの約1200人が北海道。次いで長野と青森の両県が220人程度だという。

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