北ミサイル発射兆候

破壊措置命令で自衛隊が迎撃態勢 防衛省内にPAC3配備

 中谷元防衛相は、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射する兆候があるとして、自衛隊に破壊措置命令を出した。政府関係者が29日、明らかにした。防衛省は同日夜、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を東京・市ケ谷の同省敷地内に配備。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載する海上自衛隊のイージス艦も展開し、迎撃態勢を取る。命令発令は28日付だが、政府は「自衛隊の運用の手の内を明かすことになる」として発令した事実を公表していない。

 中谷氏は29日の記者会見で「北朝鮮が事前予告なく、弾道ミサイル発射を含む挑発行動に出ることは否定できない状況にある」と述べ、警戒感を示した。「近年、北朝鮮は任意のタイミング、任意の地点で複数の弾道ミサイルを発射しており、奇襲的能力を誇示している」とも強調し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射の可能性も排除しない考えを示した。

 菅義偉官房長官も記者会見で「金正恩体制になって事前予告なしでいろんなことをやっている」と指摘した上で、「国民の生命を守ることは政府の最重要課題だ。いかなる事態にも対応できるよう態勢はしっかり取っている」と述べた。

 また、岸田文雄外相は29日、米国のケリー国務長官と電話会談し、日米両政府が北朝鮮への対応で緊密に連携することを確認した。核実験の強行に対する国連安全保障理事会の制裁決議に関しても意見交換した。

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