トウ小平氏の右腕、万里元全人代委員長が死去 98歳

 【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信によると、全国人民代表大会常務委員長(国家議長に相当)などを歴任した改革派政治家、万里氏が15日、病気のため北京市内で死去した。98歳だった。

 山東省出身の万氏は1936年に共産党に入党し、軍人として日中戦争、国共内戦などに参加。建国後は都市建設次官、都市建設相を経て、北京市副市長在任中の66年に失脚し、紅衛兵から迫害を受けたこともあった。

 75年に鉄道相として復帰、文化大革命で深刻な混乱にあった鉄道運輸システムの回復に尽力した。その後、安徽省党委書記となり、全国に先駆けて生産請負制を導入して同省の農業生産を急速的に回復させ、高い評価を得た。

 80年に副首相、82年に政治局員、88年に全人代常務委員長になった。改革開放を推進した当時の最高実力者、トウ小平氏の信頼が厚く、右腕として活躍した。

 89年の天安門事件の際、民主化を求める大学生への支持を一旦表明しながらもトウ氏に説得され、最後は、弾圧を要求する党長老らと行動を共にした。93年春に引退した。

会員限定記事会員サービス詳細