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まるで空爆「炎の竜巻」が襲った町 大規模火災頻発、背景に気候変動

 煙突だけが残った民家、焼け焦げて放置された車。路上には熱でねじ曲がった街灯が見える。一面に広がるがれきの山はまるで空爆を受けたかのようだ。

 カリフォルニア州北部の山岳地帯にあるプラマス郡グリーンビル(人口約1100人)。かつてゴールドラッシュで栄えた歴史ある町は、昨年7月から3カ月以上続いた山火事「ディキシー・ファイア」によってほぼ焼失した。

 火の手が町を襲ったのは8月4日。「炎の竜巻が山の上から一気に下ってきた。早く逃げろと住民たちに呼び掛けながら車で避難した」。郡の行政監督官ケビン・ゴス(51)は緊迫した当時の様子を振り返る。巨大な煙が太陽を覆い、燃え盛る炎が空を不気味なオレンジ色に染め上げた。

 町は前日に避難命令が解除され、住民が戻ってきたばかりだった。時速40マイル(64キロ)の強風にあおられた火は歴史的な町並みを焼き尽くしたが、奇跡的に一人の死傷者も出なかった。

 火災はプラマス郡を含む5郡に拡大。焼損面積は州史上2番目に大きい約3900平方キロに上った。福岡市(約340平方キロ)の約11倍に当たる面積が焼けた計算になる。「過去に何度も火災を経験したが、これほど壊滅的なものはなかった。規模は確実に大きくなっている」。ゴスの表情が険しさを増した。

 1972年以降、州の森林火災面積は5倍に増加。夏季は8倍に達しており、2018年以降は「メガファイア」と呼ばれる大規模火災が頻発する。背景にあるのが地球温暖化だ。カリフォルニア大准教授のパーク・ウィリアムズは「大規模火災の多くは、気候変動と森林地域の過多が原因だ。人為的な温暖化で森林が乾燥し、火災を増幅させている。この傾向は今後も続くだろう」と警告する。

 深刻な気候変動は地域の再生にも影を落としている。 =文中敬称略

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