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村野藤吾設計の信金本店保存へ 北九州で存在感

 日本を代表する建築家、村野藤吾(1891~1984)が設計した福岡ひびき信用金庫本店(北九州市八幡東区)を巡り、同信金は、老朽化して手狭になっていた建物を改修し、保存する方針を固めた。長年の懸案だった本社機能の集約を実現するため、隣接する北九州市の公有地を取得して増築できる見通しとなった。一時は取り壊しの可能性が取り沙汰され、建築関係者や研究者から保存を求める声が上がっていた。

 同信金は合併を繰り返しながら規模を拡大しており、本店だけでは本社機能が納まらず、一部を支店に置いている。3年後の創立100周年を見据え、本店の移転や建て替えも含めた議論が展開されていた。

 信金側は昨年6月、隣接する市立八幡東柔剣道場の敷地売却を求める要望書を市に提出。市は、近くに整備する運動施設に柔剣道場の機能を移転する方針を決め、24日に市議会常任委員会に報告する。信金は市有地に建物を増築し、本店とつなぐ形にするという。

 本店の建物は、1971年に前身の旧北九州八幡信用金庫の本店として完成。正面から見るとホール棟を囲むびょうぶのような形をしており、皿倉山を背景に重厚なたたずまいが存在感を放つ。官営八幡製鉄所に勤務した経験もある村野が手掛けた地域のシンボルとして長年親しまれ、建築を学ぶ学生たちの見学も多く受け入れてきた。

 村野は、本店そばの旧八幡市民会館と旧八幡図書館も設計し「村野3点セット」として知られたが、図書館は2016年に解体された。北九州市立大建築デザイン学科の福田展淳教授は「村野作品は一つ一つが唯一無二の存在で、信金本店のデザインは八幡だからこそ生まれた。官民が連携して保存する決断をした意義は大きい」と話している。

(向井大豪、山下航)

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