JT、福岡2工場閉鎖 来春、1000人の希望退職募る
日本たばこ産業(JT)は9日、九州工場(福岡県筑紫野市)を2022年3月末に廃止すると発表した。子会社の日本フィルター工業の田川工場(同県田川市)も同時期に廃止する。
全社で社員千人規模の希望退職も募り、たばこの需要減に対応した生産・営業体制の縮小を図る。
九州工場はセブンスターなど年間87億本を生産。JTの全国4工場で最も生産能力が小さいことから閉鎖し、他の工場に移管することにした。従業員数はパートなどを含め約230人で、退職勧奨の対象となる。希望者には配置転換の相談に応じる。
たばこのフィルターを生産する田川工場の従業員約180人も、退職勧奨や配置転換の対象となる。跡地の活用は2工場とも決まっておらず、今後検討する。このほか宮崎県都城市と高松市にある原料調達の拠点を西日本原料本部(熊本県合志市)に集約する。
たばこ事業は国内と海外を一本化し、スイス・ジュネーブに統合する。営業網は現在の全国15支社145支店体制を47支社に再編。希望退職募集は千人規模で、JT本体の社員は46歳以上を対象とする。また営業活動を補佐するパート約1600人に退職勧奨し、定年退職後に再雇用した契約社員ら約150人の希望退職も募る。
JTが同日発表した20年12月期連結決算は、売上高が前期比3・8%減の2兆925億円、純利益は10・9%減の3102億円だった。21年12月期はこれらの合理化策の費用に約370億円を見込んでいる。
日本たばこ協会によると、国内で販売された紙巻きたばこは1996年度の3483億本をピークに減少。2019年度は約3分の1の1181億本にまで落ち込んでいる。(下村ゆかり)