出光、東亜石油に再びTOB　米ファンドの合意取り付け

出光興産は30日、50.1%を出資する東亜石油に対し、TOB（株式公開買い付け）をすると発表した。買収総額は195億円。TOB価格は1株につき3150円と、30日の終値（2196円）に対して43%のプレミアムを上乗せした。買い付け期間は10月3日から11月15日までで、完全子会社化後、上場廃止する。

東亜石油は30日、TOBへの賛同を表明。既存株主に対し「TOBへの応募を推奨する」と呼びかけている。

出光は2020年から21年にかけ1株2450円で東亜石油にTOBをしかけたが、同社の株式を保有している米投資ファンドのコーンウォール・キャピタル・マネジメントの反対で成立しなかった。今回はTOB価格を引き上げ、事前に合意を取り付けた。コーンウォールは現在31.5%を保有しており、8割超の株主が賛同した形となる。

東亜石油は原油を精製し、石油製品として出光に供給していた。出光は東亜石油を完全子会社化することで、グループ内で生産能力を機動的に再編できるようになる。東亜石油の製油所が立地する川崎市は次世代エネルギーとして期待される水素関連の産業が集まっており、将来は水素の拠点としての活用も検討する。