日野自エンジン不正、国内出荷3割影響 型式取り消しへ
日野自動車によるエンジンの排出ガスや燃費性能のデータの不正問題で、同社は25日、国土交通省が通告した対象エンジンの型式指定を取り消す行政処分に対し「意見なし」と陳述書にて回答したと発表した。国交省は近く、道路運送車両法に基づきエンジンの指定を取り消す方針。同社の国内販売の3割を占める大型トラックなどで出荷再開のメドがたたない厳しい状況が続く。
国交省は同日、行政処分に関する会社の意見を聞く聴聞を開いた。国交省は日野の本社への立ち入り調査などをもとに、不正行為があったとして対象エンジンの型式指定を取り消す方針を18日に同社に通告していた。
型式指定は車両の出荷に必要だ。2017年の道路運送車両法改正で、不正な手段で型式を取得した場合は指定取り消しが可能となった。規定の適用は初めて。
日野は4日、中型、大型トラックと観光バスに搭載していた3種類のエンジンで不正があったと発表。同日、対象のエンジンを搭載していた車両の出荷を停止した。中型トラックは一部出荷が続いているが、大型トラックは全て止まっている。21年3月期ベースでは、大型トラックは同社の国内販売の3割を占めた。
出荷再開には新たな試験データをもとに型式指定を取得し直す必要があるが、メドは立っていない。同社の国内販売台数は全世界の4割を占める。出荷停止が長びけば収益に影響を及ぼす懸念がある。
同社は同日、対象のエンジンを搭載して販売した中型トラック約4万7000台でリコール(回収・無償修理)を実施することも明らかにした。これまで「不正があったかは不明」としていた小型エンジンの1種類についても、燃費性能を測定する認証試験で不正があったことを発表した。
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