米国、F15をインドネシアに売却 南シナ海対応を強化
【ジャカルタ=地曳航也】米国務省は10日、インドネシアにF15戦闘機36機を売却することを決めたと発表した。総額は関連機材を含めて139億ドル(約1兆6000億円)。F15を主力戦闘機と位置づけ南シナ海など中国の海洋進出への対応を強化するインドネシアを支援する。
米国防総省の国防安全保障協力局が議会に売却を通知した。同局は10日の声明で「アジア太平洋地域の政治的安定と経済発展に貢献する重要なパートナーの安全を向上させる」と強調した。
インドネシアのプラボウォ国防相は同日、フランスと同国製ラファール戦闘機42機の購入で合意し、最初の6機について契約したと発表した。両国で潜水艦の研究開発に向けた協力を始め、フランスからスコルペヌ型潜水艦2隻を購入することを検討するとも表明した。
南シナ海にあるインドネシア領ナトゥナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)では中国公船の動きが活発化しており、インドネシアは離島防衛の強化を進めている。米仏からの戦闘機の購入はその一環だ。
インドネシア政府は次期主力戦闘機としてロシア製の導入を検討していた。ただウクライナ問題などで米国とロシアの対立が激化し、ロシア製の採用に踏み切れば、米国から制裁を受ける可能性もある。
インドネシアの空軍トップは2021年末に「ロシアから『スホイ35』を購入する計画を断念する」と述べた。過去に米国から武器禁輸の制裁を受けた経緯を踏まえ、フランスとも戦闘機購入の交渉を進めた。