巽外夫氏死去 元住友銀行頭取
住友銀行(現三井住友銀行)頭取を務めた巽外夫氏が1月31日、老衰のため死去した。97歳だった。不正経理が問題となった「イトマン事件」で頭取として陣頭指揮を執った。マツダの再建にも尽力した。連絡先は同行秘書室。お別れの会を開くが、日取りなどは未定。喪主は長男の文夫氏。
福井県出身。1947年に京都帝国大学(現京都大学)を卒業し、住友銀に入行。融資や審査部門で頭角を現した。他行の幹部からは「正統派バンカー」と評された。
87年からバブル崩壊後の93年まで約6年間頭取を務めた。在任中に中堅商社イトマンを舞台にした不正経理事件が発覚。イトマンへの巨額融資を主導したとされる故磯田一郎会長に退任を迫った。イトマンの解体処理も手掛け、住友銀の再生に道筋をつけた。
マツダの経営再建の立役者でもあった。旧東洋工業時代の70年代半ば、石油危機で経営不振に陥ったマツダのために主力銀行の住友銀は融資第二部を創設。初代部長に就き、手腕を発揮した。
77年には橋渡し役として米フォード・モーターとの提携交渉に臨んだ。米独占禁止法の審査では証言台に立つなど奔走。79年にはマツダとフォードが資本提携した。頭取を退いた後もマツダの社外取締役を務めた。
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