検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

南米ボリビアに70年、もう一つの「オキナワ」

日系人が文化継承

詳しくはこちら

ウユニ塩湖で知られる南米ボリビア。最大都市サンタクルスから車で約1時間半、日系ボリビア人コミュニティー「オキナワ移住地」がある。戦後の沖縄から新天地を夢見て移住した人々がゼロから創り上げた村だ。未開の地で風土病や天災に悩まされながら、密林を切り開くなど苦労を重ねて約70年。故郷の文化を紡ぎながら広大な土地で農作物を育て、「ボリビアの小麦の首都」と呼ばれるまでになった。

「普段はサンタクルスだけど、週末は毎週オキナワに帰ってるよ。なんかしら行事やってるし、地元の方が落ち着くし」。大城利沙さん(24)が話すと、隣に座った新垣まゆみさん(29)が「地元好きすぎだよね、うちら」と笑って返す。日系3世の大城さんたちだが、会話はすべて滑らかな日本語。南米の片田舎であることを忘れさせる。

南米には数多くの日系人のコミュニティーがあるが、世代を重ねるとスペイン語やポルトガル語など現地の言葉が優先されるようになり、3世ともなると日本語を話せない人も多い。こうした中、オキナワの文化継承の濃さは際立つ。行事のたびに子供から老人まで世代を超えて沖縄の伝統楽器「三線(さんしん)」を奏で、エイサーを踊る。

こうした密度の濃いコミュニティーは、移住者のほとんどが沖縄出身という特殊な環境によるものだ。家族や近所付き合いを大切にする沖縄の文化がそのままボリビアに持ち込まれ、現在も維持されている。

教育現場でも故郷である日本や沖縄の文化を重んじる姿勢が見られる。「ごごは、日本語で話しましょう」。オキナワ第一日ボ学校の校内には、日本語で書かれたポスターが貼ってあった。「今は日系人じゃない生徒も多いし、最近の子たちは放っておくとすぐスペイン語で話しちゃうんだけどね」。教師は苦笑するが、机を動かして全員で掃除をする風景は日本の学校そのままだ。

のどかな光景が広がるオキナワだが、辛苦の歴史の上に成り立つ。移住者の多くは戦後、米軍の占領や海外からの引き揚げ者で過剰人口を抱えた沖縄から、やむを得ず海外に送り出された。「あのまま沖縄にいても将来もないし、金も持たずに船に飛び乗った」と新垣真永さん(80)は振り返る。

しかも、事前に聞いていた話と異なり、ボリビア政府から払い下げられた土地は密林だった。川の氾濫や風土病に悩まされ、多くの犠牲者を出しながらボリビアに入植後でも2度の移転を余儀なくされた。

「子供も大人もなく、皆で朝から働いてなんとか暮らしていた」。一次移住者の女性はこう振り返る。子供ものこぎりを手に取り、密林を切り開き、田畑や道路を作った。自治体が「オキナワ」の名を冠するのも、ゼロから創り上げたという証しでもある。

農業もはじめから成功したわけではない。オキナワ日本ボリビア協会の中村侑史会長(78)は「米や綿花を作ってみたけどうまく行かず、入植から30年ぐらい、模索の時代が続いた」と話す。1980年代に入り大豆の作付けに成功し、安定して利益が出るようになったという。

今では農業の大規模化が進み、大豆のほかに小麦やコーンの生産、畜産など事業が拡大した。工場を建設し「オキナワ」ブランドで小麦粉やパスタなどの加工品も手掛けるように。「小麦の首都」と呼ばれるほか、大豆輸出で外貨獲得に貢献しているとして、コロニアオキナワ農牧総合協同組合はボリビア政府から「最優秀大豆輸出業者」として表彰されている。

オキナワに住む日系人が日本文化を色濃く残すのも、経済的な成功と無縁ではない。「経済的にゆとりが生まれ、はじめて文化継承に取り組めるようになった」(中村会長)。現在は沖縄県や国際協力機構(JICA)から教師を受け入れるほか、日系人の子弟を沖縄に留学させて日本とのつながりを保つ。

「長年にわたり努力を積み重ね、ボリビア社会の厚い信頼を得て、両国の懸け橋となってこられたことに、心から敬意を表します」。7月19日、オキナワを公式訪問された秋篠宮家の長女眞子さま(27)は集まった日系人を前に、こう述べられた。中村会長は「我々が日本から認められているということで、非常にうれしい」と顔をほころばせた。

眞子さまの歓迎式典が開かれたオキナワ移住地文化会館ではフェンス越しに様子を一目見ようと、地元在住のボリビア人も多く詰めかけた。ハビエル・ゴンサレスさん(40)は「日系人はとても良く働くし、地域にとって良い存在だ」と話す。地球の反対側にある「もう一つのオキナワ」は、遠く離れた南米と日本をつなぐ役割を果たしていた。(ボリビア中部オキナワ移住地で、外山尚之)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_