輸入牛肉に新興勢 ウルグアイ産 19年ぶり登場
オーストラリア産と米国産が主力の輸入牛肉に「新勢力」が登場した。2019年2月に19年ぶりに解禁されたウルグアイ産だ。輸入牛肉全体に占める数量はまだまだ少ないが、さっぱりした赤身が特徴とあって大手ステーキ店が取り扱いを始めた。輸入牛肉は環太平洋経済連携協定(TPP)発効を背景にカナダ産が増えている。18年にはアルゼンチン産も一部解禁されており、消費者の選択肢が広がりそうだ。
名古屋市に本社を置くステーキチェーンのブロンコビリーは5月27日から中京地区を中心とした136全店舗でウルグアイ産牛肉を使ったメニューの販売を始めた。
ウルグアイ産の「炭焼き超厚切り熟成サーロインステーキ」は150グラムで税込み1598円。米国産など他国産を使った「炭焼き極選リブロースステーキ」(150グラム・2138円)と比べても500円ほど安い。同社の担当者は「オーストラリアなどと比べて関税が高いのを差し引いても、消費者が求めやすい価格で提供できる」と語る。
ウルグアイ産牛肉は牧草で肥育した牛を使っており、さっぱりした赤身が特徴だ。50~60日かけて冷蔵船でじっくり熟成しながら運び、日本に着くころには程よく熟成し、うまみが増しているという。担当者は「たくさん食べても胃もたれしない」と胸を張る。
ウルグアイ産牛肉を巡っては2000年に口蹄疫(こうていえき)が発生したため00年10月以降、輸入を停止していた。
今年1~4月の貿易統計をみると、輸入量はウルグアイは5トン。最も多いのはオーストラリアの9万5316トンで前年同期比0.1%増。米国が9.8%増の7万8451トンと両国で全体の88%を占める。次いでカナダ産が86.4%増の1万1302トン、ニュージーランド産は83.5%増の7083トンとTPP11発効に伴い関税が引き下げられた国の牛肉が大幅に増えている。
南米の牛肉では、アルゼンチン南部のパタゴニア産の輸入も18年に解禁されている。同国のエチェベレ農産業相は20年にも対日輸出が全面解禁されることに期待を示す。
ウルグアイ産が全輸入量に占める割合はごくわずか。それでも国内でウルグアイ産を取り扱う日本ハムの担当者は「問い合わせが増えている。ウルグアイに保有している自社工場を活かし、積極的に販売していきたい」と前向きだ。健康意識の高い女性やシニア層を中心に赤身肉の人気が続く中で、新勢力が浸透するか注目だ。(嶋田航斗)