中国・吉利、ダイムラー株1割取得 筆頭株主に
1兆円規模
【フランクフルト=深尾幸生】中国の自動車メーカー浙江吉利控股集団が独ダイムラーの株式の9.69%を取得し、筆頭株主になった。ダイムラーが23日、独証券取引法に基づいて開示した。取得額は1兆円規模とみられる。吉利はスウェーデンのボルボ・カーなどの親会社で、ドイツの名門にも影響力を及ぼす可能性が出てきた。
開示資料によると、株式を取得したのは吉利の李書福董事長。これまで筆頭株主はクウェートの政府系投資ファンドだった。吉利は株式市場でダイムラー株を取得したもよう。ダイムラーは「長期的な投資家は歓迎する」としている。
吉利のダイムラーへの出資説はこれまでもたびたび報じられてきたが、ダイムラーは交渉を否定。一方で株式市場での株式取得には反対しないと表明していた。
吉利の出資の狙いは明らかになっていないが、ダイムラーの電池技術に関心があるとされる。
吉利は傘下に高級車メーカーのボルボ・カーのほか、英ロータスなど欧州の自動車メーカーを持つ。2017年12月には商用車大手のABボルボ(スウェーデン)にも約4000億円を出資し、筆頭株主になった。ダイムラーにも高級乗用車の部門と商用車の部門があり、相乗効果を狙うとみられている。
ダイムラーは自動車の源流を発明したカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーを創業者に持ち、世界最古の自動車メーカーとされる。「メルセデス・ベンツ」のブランド力は絶大で、独フォルクスワーゲン(VW)と並んで自動車大国ドイツの象徴的な存在だ。吉利がダイムラーの経営に関与する意思を示すかどうかが注目されている。