ロヒンギャ迫害、ミャンマー国軍が意図的 国連報告書
【ジュネーブ=細川倫太郎】国連人権高等弁務官事務所は11日、ミャンマーのイスラム系少数民族が難民として隣国バングラデシュに流出した問題について、「ロヒンギャを国外に追放するだけでなく、帰還を阻むため、ミャンマー国軍が意図的に家屋や田畑を破壊・放火した」とする調査報告書を公表した。国連が組織的迫害を指摘したことで、ロヒンギャの人権問題を巡って国際社会の批判が一段と強まる可能性がある。
報告書は、9月13日から24日にかけ、バングラデシュに逃れた約65人への聞き取り調査をもとにまとめた。
ロヒンギャ系の武装集団による治安部隊への襲撃事件が起きた8月25日以前から、ロヒンギャの若い男性や指導者層を逮捕するなどの形で迫害が始まっていたと指摘。住民の殺傷や誘拐、性的暴行などを手段として、人々の間に恐怖心を植え付けたと非難した。ある村では襲撃の前に拡声器で「バングラデシュに行け。さもなければ家に火をつけ殺す」と迫ったという。
国境地帯に敷設された地雷で11人が負傷したとし、「8月23日まではバングラデシュとミャンマーの両軍が合同パトロールをしていたことから、その後に敷設された可能性が高い」と指摘した。
早期のミャンマーへの帰還を希望する住民が、現地への国連平和維持活動(PKO)の展開などを求めているとする声も伝えた。