T―岡田、殻破れるか 選手会長就任 フル出場狙う
スーパースターへ飛躍すると期待されながら、足踏みするプロ野球選手がいる。2010年のパ・リーグ本塁打王、オリックス・T―岡田もそうだ。
10年に初タイトルを取ったのは、大阪・履正社高を出て5年目、22歳の時だった。これで以後10年はオリックスの4番に座り、球界を代表する打者になると見られた。
だがその後、この年にマークした打率2割8分4厘、33ホーマー、96打点を一度も超えていない。昨年、打率だけは自己タイを記録したが、本塁打は14年の24本が最多だった。
ケガが飛躍を阻んできた。左太もも、腰、左足アキレスけんなどを次々と痛めた。太り過ぎて下半身強化を十分にやれなかったのもケガを誘発した。
ホームラン王になった翌年の11年から、球界は"飛び過ぎるボール"を、反発力の落ちた「統一球」に変えた。それまでのように、ボールの反発力を利用せず、体をより鋭く回転する打撃本来の姿に戻ることが求められた。
T―岡田はこれに過剰に反応した。もともとノーステップ、すり足などと、打法をよく変えるタイプ。反発力の落ちたボールを飛ばそうとフォームをいじって深みにはまった。
福良淳一監督は今季、T―岡田を選手会長に推した。打順を下位に落としたが、悩み、挑戦する姿でチームを引っ張れと督励したのだ。
昨季は「キャリアハイ」に挑むと、35ホーマー、100打点を監督に約束したが、20本、76打点に終わった。今季は具体的な数字を挙げず、「まだ果たしたことがないフル出場」を狙っている。まだ29歳。"平凡なレギュラー"にとどまるか、再飛躍への足掛かりをつかむか。ここからが勝負だ。
(スポーツライター 浜田 昭八)