原子力規制委、更田新委員長が就任「安全追求に終わりない」
原子力規制委員会の新委員長に22日、更田豊志委員長代理が就任した。2012年に発足した規制委の田中俊一初代委員長に続く2代目の委員長となる。更田委員長は記者会見で「安全の追求に終わりはない」と述べた。東京電力福島第1原子力発電所事故の反省から、国や事業者の利害にとらわれない独立性が求められ、原子力規制の信頼向上が課題となる。
規制委は委員長と4人の委員の計5人による合議制で意思決定をする。更田氏は発足当初から残る唯一のメンバーとなった。自身に課せられた役割として「福島への強い思いを忘れずに、委員長が代わっても初心を緩めないようにすることが使命」と語った。
規制委発足後の5年間で、再稼働の前提となる安全審査に6原発12基が合格し、稼働中の原発は3原発5基になった。今後は運転管理に目を光らせる。更田氏は「運転中の原発を検査する能力を高めていく」との考えを強調した。事業者とのコミュニケーションが大切になるとの認識も示した。
安全審査では、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の合格内定時期が焦点になっている。規制委は東電に原発を運転する適格性があるとの認定は終えている。事実上の合格証にあたる「審査書案」のとりまとめ時期も近いが、更田氏は「今後の東電の姿勢は、彼らにとっても私たちにとっても重要だ」と話すにとどめた。
同日、山中伸介大阪大学元副学長も委員に就任した。新たな5人体制で再始動する。
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