女子の部は、東海大が日本女子体育大にストレート勝ちし、2連覇を果たした。春季リーグ、東日本インカレ、秋季リーグに続く優勝となり、悲願の4冠を達成。セッター中川つかさ主将(4年=金蘭会)が的確なトスを繰り出し、パワフルな攻めで圧倒した。
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強力なアタッカー陣を擁する東海大は、身長170センチ以上の選手が何人も並ぶ。そんな中、159センチのセッター中川主将が、存在感を放った。
東海大の登録メンバーで2番目に背が低いものの、左右に的確なトスを振り、多彩な攻撃を演出。試合中も短い言葉での指示を絶やさず、4冠の立役者となった。試合直後のインタビューでは「いい形で終わることができて、すごくホッとしています」と実感を込めた。肩の荷を下ろしたような表情に、背負ってきたものの重さがにじんだ。
同大会を6年ぶりに制した1年前。新チームの目標を4冠に定めた。決意通り、春季リーグは12勝0敗で完全優勝。東日本インカレ、秋季リーグでも、頂点に上り詰めた。
順調と思える1年だったが、結果がついてきたがゆえに、見えない敵とも闘っていた。
「自分たちで立てた目標が、すごくプレッシャーに感じることもあって」
宮部愛芽世(3年=金蘭会)が日本代表活動のため、戦列を離れた時期もあった。故障や教育実習と重なり、なかなかフルメンバーがそろわなかった。ひと言では言い表せない重圧に打ち勝つため、さらに厳しさを求めた。
「あまりコミュニケーションをうまく取るタイプではないと思っていて、姿で見せようと思って。勝つことだけを見ていたので、そのために必要なことは真っすぐに伝えました」
キツい言葉をかけることも、いとわなかった。
姿で見せる。それはチームメートへも確実に届いていた。アウトサイドヒッターの宮部は「順位をつけるわけではないですけど」と前置きして言った。
「キャプテンの苦労が、ほんとに伝わってきました。一番努力して、一番苦労していたのが、キャプテンでした」
奮闘する主将の背中を、仲間も追った。
4冠が懸かった4日の決勝。追い求めたバレーを発揮した。宮部をはじめとしたアタッカー陣が、中川のブレないトスを信頼し、タイミングよく踏み切る。火を噴くようなアタックを放ち続け、3セットで試合を決めた。
表彰式。1人1人に金メダルをかけたのは、一回り小さな主将だった。共闘してきた仲間が、笑顔で体をかがめる。見上げると、思いが込み上げ、視界がぼやけた。ふたをしてきた感情が、あふれ出た。
「今日が終わるまでは、1ミリも気を抜くことができなかったので。だから今日の勝ちは、ほんとによかったなって思います」
しみじみとかみしめると、中川つかさにも、ようやく笑みがこぼれた。【藤塚大輔】
◇女子個人表彰
▽最優秀選手賞 中川つかさ(東海大4年)
▽敢闘賞 佐藤黎香(日本女子体育大4年)
▽優勝監督賞 藤井壮浩(東海大)