<フットサル:全日本選手権>◇17日◇代々木第1体育館

 Fリーグ王者・名古屋オーシャンズが6年ぶりに優勝した。関東地域リーグ所属のフウガすみだと対戦し、延長(4-4)でも決着つかず、PK戦を4-3で制した。名古屋は今季、リーグ戦、カップ戦に続く3冠で、全試合を無敗で切り抜けた。同チーム所属の日本代表FP木暮賢一郎(33)は試合後、サポーターに引退報告した。

 木暮が泣いた。現役生活最後の試合は、出場なしで終わった。その悔しさより、プロとして初めて日本一になったことがうれしかった。「現役最後の大会で優勝して、3度目のW杯で初めてベスト16に入って、最高です」と涙目で話した。

 引退セレモニーを見届けたかすみ夫人(31)は、8年前の出会いを思い出した。都内のフットサルチームのマネジャーだった夫人は、練習に訪れた相手チーム木暮のプレーにほれた。「あんなエンゼルパスが出せる人は、きっと優しいはず」。付き合ってみたら、期待通りだった。結婚してからも記念日は絶対忘れないという。海外遠征時も、必ず記念日に合わせてプレゼントが届くように手配する。

 10年以上も日本代表としてプレーしたが、現役最後は控えメンバーだった。引退間際、横浜FCのFWカズからは「ベンチにいても常に準備することが大事だ。今、オレもそうだよ」と激励された。

 将来、日本代表監督を目指す。「まだ日本独特のスタイルが確立されていない。一体感のある日本特有のチームをつくりたい」。トップの気持ちもサブの気持ちも分かる「木暮監督」が、日本のフットサル界をけん引していく。

 ◆木暮賢一郎(こぐれ・けんいちろう)1979年(昭54)11月11日、神奈川・川崎市生まれ。小3で読売クラブ下部組織に入り、中学まで同チーム所属。中大在学時、本格的にフットサルを始め、日体大大学院を経て、スペインリーグ進出。09年から名古屋オーシャンズ移籍。フットサル日本代表としてW杯3大会出場。175センチ、65キロ。