日本代表MF香川真司(30=ベシクタシュ)らが所属するマネジメント会社UDN SPORTSに、バドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)が加わった。

30日、同社の社会貢献部門となる基金・事業団体「UDN Foundation(UDNF)」の設立会見が都内で行われ、明かされた。香川らサッカー選手とタッグを組んだ桃田が、20年東京五輪で金メダルに輝くための異業種交流をスタートした。

香川たちと桃田の異色コラボが実現した。世界的クラブのドルトムントやマンチェスターUで活躍し、日本代表で10番を背負う男に加え、W杯ロシア大会でともに16強へ進んだ原口、柴崎らが契約を結ぶUDN。そこにバドミントン界から飛び込んだ。香川が「違った競技との協力は大事。東京五輪で金メダルを目指すアスリートと一緒に頑張りたい」と歓迎すれば、桃田も「尊敬する選手たちと並べてうれしい」と喜んだ。

UDNFは「ファン、サポーターや社会に恩返ししたい」という所属選手の思いで設立。草の根や社会貢献の活動を行っていく趣旨に桃田も賛同した。これまで他競技のトップとの交流が少なく、香川とも今回が緊張の初対面。違う分野から感じ、新たな視点に気づくことに期待して、関係者を通じてUDN入りした。この日の会見でも、さっそく柴崎から話を振られるなど初融合。「いろんな話を聞いてみたい。東京五輪でメダルを獲得する目標とともに、世の中に貢献するため自分に何ができるかを考えたい」と抱負を語った。

境遇も似る。香川は中学1年で神戸の親元を離れ、FCみやぎバルセロナ(仙台)に越境留学。「誰よりも厳しい環境に身を置いてきた」ことを自負し、高校2年でC大阪とプロ契約を結んだ。桃田も同じ12歳の時に「うどん県」香川・三豊市の家族と離れ、福島第1原発から約10キロの富岡中高へ。東日本大震災後の高校3年時にジュニアの世界選手権で日本人初優勝し、昨年8月にはシニアの世界選手権も制した。同9月から世界ランク1位を譲っておらず、今年3月の全英オープンも初優勝。東京五輪の金メダル最有力候補だ。

サッカー教室にも参加した桃田が好パスを出すと「センスある。天才肌だね」と認めた香川。これから本格的に交流していく。日本を代表するサッカー選手たちと桃田が手を携え、金メダルロードを踏み固めていく。【木下淳、松熊洋介】

 

◆UDNFの社会貢献事業について、香川は「1人より皆で協力すれば可能性は広がる」と話した。既に個人では収益の1%を寄付する「コモンゴール」にアジア人で初参加。「21歳から海外で生活した中で多くの国籍の仲間と出会い、活動を学んだ」と説明した。柴崎は、子供から直接質問を受けるサイトの開設を提案し「できる限り誠実に答えたい」。難病少年と心を通わせた原口、元代表の酒井、同じくUDN入りした20歳冨安、昨季引退した元JリーガーでUDN社員の薗田氏も出席。サッカー教室には、趣旨に賛同した元なでしこ宮間も参加した。

 

◆UDN SPORTS(旧UDNマーケティング)香川ら所属のスポーツマネジメント事務所。香川が愛する「うどん」が社名の由来で12年に設立。事業は(1)マネジメント(2)コマース(商業)(3)ファウンデーションに分かれ、今回設立した(3)はチャリティーなど4つの部門がある。所在地は東京都渋谷区。登壇者以外に清武弘嗣、山口蛍、井手口陽介、なでしこ長谷川唯らが所属する。