文化放送がウクライナ出身のパーダルカ・オリハさん(23)を契約社員として採用し、20日、同局で行われた定例会見で発表した。

オリハさんはキーウ国立大学、同大学院で日本語を学び、21年10月に留学生として和歌山大に入学。在学中の22年に文化放送でインターンとして数日間過ごした経験がある。その後ウクライナに帰国していたが、「ウクライナと日本の架け橋になる」というオリハさんの夢と、英語を含めて語学力堪能なオリハさんの適性を「大歓迎」する同局の思いが一致し、入社が決定。6月から報道スポーツセンターで勤務している。

オリハさんは、日本語を学んだいきさつについて「ウクライナ人にとって、日本と日本語は珍しくておもしろいです。とても難しいと思ったので挑戦しました」。また「日本料理は大好きです。おすし、きつねうどん、牛丼をよく食べます」と笑顔で話した。

今後、語学力を生かした国際政治などの報道業務のほか、ポッドキャスト番組「オリハの今まで知らなかったウクライナ」の発信などを手がけていく。

両親は現在、首都キーウの南100キロほどにある村で暮らしており、姉はキーウで働いている。「キーウ地方はミサイルの攻撃がありますが、ふるさとは大丈夫な状態にあります」。姉とは毎日メッセージのやりとりをしているとし「5月はキーウは毎夜攻撃を受けたので、激しい爆発の音をよく聞いていた。家族についてはとても不安です」と話した。

家族と離れて文化放送入社を決断した理由について「恋しくてさみしいと感じる時もありますが、日本とウクライナの架け橋になるという夢がありますので、夢がかなうために頑張りたいと思います。1歩1歩成長して、ウクライナと日本のきずなを強めていきたいです」。

同局が外国出身者を社員採用するのは初めてという。齋藤清人社長は、「私に何ができるかと考え、文化放送で受け入れることを決断し、彼女も受け入れてくれた」とし、経歴や卒業論文などから高く評価した経緯を語った。「デスクを並べている仲間の母国が軍事侵攻を受けているのはとても悲しいこと。偏りなくということを前提に、彼女の発言や言動を温かく見守ってほしい」とした。