阿部寛(58)が、アジア全域版アカデミー賞「第16回アジア・フィルム・アワード」(AFA)の「Excellence in Asian Cinema Award」を受賞した。主催のアジア・フィルム・アワード・アカデミー(AFAA)が6日、発表した。

「Excellence in Asian Cinema Award」は、優れた才能を持つ映画人にスポットを当て、その映画人のアジア映画界・アジア文化における業績と貢献をたたえる賞。日本人の受賞は、第9回(15年)の中谷美紀、第13回(19年)の役所広司に続く、3人目。

阿部は「このたび『Excellence in Asian Cinema Award』を受賞することができ、とても光栄に思います。AFAのような大きな賞をいただき、本当に驚いています。受賞を聞いた時は、これまでずっと一緒にやってきたスタッフさんたちがそばにおり、皆で本賞を分かち合えることがうれしく、大変感謝しています」と受賞を喜んだ。

阿部は、1987年(昭62)の映画「はいからさんが通る」で俳優デビューしてから30年以上のキャリアを誇り、国内外で90本以上の映画に出演。海外作品にも多く出演しており、初の主演映画は、香港との合作作品「孔雀王 アシュラ伝説」(90年)。東京を舞台にしたアクション映画「東京攻略」(00年)では、香港のトニー・レオンら名だたるアジアのスターと共演した。他にも、タイのアクション映画「チョコレート・ファイター」(08年)や日中合作映画で、東京国際映画祭第30回記念のオープニングスペシャル作品として上映された「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」(17年)にも出演。卓越した演技力と才能は、日本だけでなく国際的な映画シーンでも認められ、アジア映画の発展に大きく貢献していると評価され、今回の受賞が決定した。

AFAAのウィルフレッド・ウォン会長は「日本のエンターテインメント業界における阿部寛さんの地位は、唯一無二のものです。彼の演技への愛情は、日本映画そしてテレビドラマに新鮮さと活力をもたらし、日本のエンターテインメントの発展に大きく貢献しています」と祝福。東京国際映画祭の安藤裕康チェアマンも「阿部寛さんは、日本の映画界やテレビ界の若い世代に、献身性と独創性において目標となる姿勢を示してきました。阿部さんが映画への情熱を持ち続け、将来、アジアの映画そしてテレビで、さらなる飛躍を遂げることを期待しています」とコメントした。

「Excellence in Asian Cinema Award」を含む、過去のAFA特別賞の受賞者には、山田洋次監督、中国のチャン・イーモウ監督、台湾のホウ・シャオシェン監督、香港のアン・ホイ監督、インドの俳優アミターブ・バッチャン、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でアジア系女優として初めて米アカデミー賞にノミネートされたミシェル・ヨー、樹木希林さん、韓国の俳優イ・ビョンホンらが受賞している。

阿部は、3月12日に香港で開催される授賞式にも参加予定。